必修カードマジック10選

独学でマジックをしているとどうしてもレパートリーに偏りができてしまいます。レパートリーが偏ること自体は必ずしも悪くはないのですが、あくまで基本を習得した上で好きなジャンルや得意なマジックを伸ばしていけばよいのではないかと思います。

そこで、今回はカードマジックの中でもこれだけは覚えておきたいマジックを10選んでみました。これらのマジックは、必ずしもペットトリック(頻繁に演じるお気に入りのトリック)にする必要はないのですが、一度は習得しておくことで間違いなく視野が広がり、見識が深まると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.キーカードロケーション

これは言わずと知れた手法ですが、上手くやれば本当に不思議なマジックになります。スペインのタマリッツがテレビで、あるマジックにこの手法を使っていましたが、最初に見たときは全く気づきませんでした。当て方にも工夫の余地があり、文句なしの必修カードトリックだと思います。

2.エース・ボナンザ

「図解カードマジック大事典」P.422掲載。よく初心者向けのカードトリックとして紹介されることが多いですが、良いマジックです。確かにセルフワーキングに頼るのはよくありませんが、技法だけに頼るのも同じくらいダメです。原理も技法もどちらも大切です。

3.オイル&ウォーター

さまざまな手順がありますが、最初に覚えるのにおすすめはニック・トロストの「水と油の秘密」( 図解カードマジック大事典 P.262)。すこし上手になってくると、程良い難度で練習して楽しいのが「オイル・アンド・クイーン」(図解カードマジック大事典 P.265)で、どちらもおすすめです。

4.ストップ・トリック

トランプを1枚ずつ配っていき、お客様がストップと言ったところから先ほど選んだカードが出てくるマジックを総称してストップ・トリックと言いますが、一種のメンタルマジック的な要素もあり、非常にウケやすいマジックです。シンプルなグライドを使った方法や、「奇術入門シリーズ カードマジック」P.112掲載の「ストップ・カード」等がおすすめです。

5.ライジング・カード

これは素晴らしいテーマで、クロースアップから、サロン、パーラーでもできるビジュアルなマジックです。やはり様々なやり方がありますが、まずは即席でできる方法(「図解カードマジック大事典」P.512やP.513)がおすすめです。ただし、細かいことを言えば、カードマジック大事典P.512の写真の手の位置は間違っています。正確なやり方はルポール本人の「ルポールのカードマジック」に載っており、そちらの方がより良い方法です。

6.デイヴズ・ディライト

こちらも「図解カードマジック大事典」P.529掲載。このマジックに関しては人によって好みが分かれるというか、名作だけど必修10選に入れるほどだろうか、と思う方もいるかもしれません。ただ、マジックを始めた人にとって、まずは身近な人をだますことが非常に大切で、このトリックは油断させて不意打ちをするサカートリックとして巧妙でよくできています。

7.4Aアセンブリ

これも一度は取り組んでおきたい作品。何はともあれ、「シンプレックス・フォア・エーセス(図解カードマジック大事典 P.406)」をマスターし、シンプルで巧妙な仕組みを理解して、このテーマが気に入ったらスローモーション系など、さまざまな作品に取り組んでみるのも良いと思います。

8.ツイスティング・ジ・エーセス

これも押しも押されもしない名作で、ダイ・ヴァーノンの原案(図解カードマジック大事典P.272)通りに演じるのがおすすめです。技法も構成も綺麗にまとまっています。

9.ラストトリック

こちらもプロアマ問わず愛用されている名作で、まずは原案(図解カードマジック大事典P.377)を練習するのがおすすめです。乱用されている簡易版はおすすめできません。上手く演じられると、本当に大きな驚きを生む、非常に価値のある作品です。

10.ヴィジター

ラリー・ジェニングズの考案した傑作トリックで、技法、原理ともに巧妙です。原案(図解カードマジック大事典 P.448)も良いのですが、私のおすすめは「ゆうきとものクロースアップマジック」掲載のゆうきさんの改案「最後の訪問者」です。これは本当に素晴らしい改案で、既にAクラスの作品だったヴィジターをSクラスにしたと言っても過言ではありません。手順の中でメインになりうる作品です。

以上、これだけは覚えて損はないという作品を挙げてみました。とはいえ、人間の記憶力には限界がありますので、ざっと見て興味のあるマジックがあれば、1つや2つでも良いので練習していただけると面白いと思います。

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