シカゴの四つ玉(動画あり)

皆さんにも色々と思い出のマジックがあると思いますが、私にとっての四つ玉もそのひとつです。「初心に戻ろう」「一から出直そう」という気持ちになったときに練習しなおします。

四つ玉は子供の頃からあこがれのマジックでした。やはりマジシャンのイラストなどで、指の間にボールを挟んだ図がよくあり、やったことはなくても存在は知っていたからです。最初に買ったのは中学生のときで、テンヨー製の直径40mmの赤でした。少し塗装は剥がれてしまっていますが、今でも持っています。

上の写真は直径30mmの小サイズのものですが、説明書はおそらくすべて共通で、私が最初に覚えた手順もこの説明書のものです。それから、色々な方に教わったり、アドバイスを受けたりしながら、徐々に手順が変わっていきました。

四つ玉はごくごくシンプルな手順であっても、少しでも見やすく、わかりやすく、と工夫をする余地が無限にあり、本当に奥の深さを感じるマジックです。しかし、私のレパートリーとしては、あまり演じる頻度が少ないものでした。というのも類似のスライハンドマジックである、シンブルを演じることの方が多かったからです。

どちらも出現、消失、移動、増減などをするマジックであり、優劣はつけがたいのですが、四つ玉の方が若干見栄えがするものの、シンブルの方が物が小さい分、角度に強く、また、技術的にも手のコンディションに影響されにくく、安定感があったため、演じる頻度が多くなっていきました。

それでも、四つ玉はことあるごとに練習しなおし、少しずつ変化しています。ただ単に技術的に上手くなるというより、どういうマジックが良いのか、マジックとはどうあるべきなのか、という自分の考えや価値観を手順やハンドリングに投影させていきます。

そして今一度定まった手順がこちらです。

2分の無言の演技に語りつくせないほどの言葉を詰めましたが、そのほとんどはお客さんに伝わらないものです。マジシャンに見せても伝わらないと思います。しかし、細かな部分が伝わらなくても、全体を通した印象として感じ取ってもらうことができれば十分という気持ちです。もちろんこれで完成というわけではなく、1年後にはまた何か変わっているかもしれません。

ただ、ひとつだけこの動画に添えておきたいのは、この手順は角度に強く、180度まで耐えられることです。これは通常の四つ玉ではあり得ないことです。つまりこの手順は動画用に作ったものではなく、厳しい環境で実演に耐えらるようにと作ったものなのです。

いつかコロナウイルスが収束し、動画ではなく実際にお客様の前で四つ玉を演じられる日が来ることを祈っています。

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