マジックに限らず、芸能やパフォーマンス関係に関わったことのある方ならどこかで聞いたことがあるかもしれません。パフォーマンスそのものが上手いだけでなく、人としての魅力が大切なんだという説に対して、私なりに考えていることを4つに分けて書いてみようと思います。
①魅力のない人間なんていない
「マジシャンには人間的魅力が必要」という言葉を聞いて、多くの人は「もちろんそうだ、その通りだ」と言うことでしょう。しかし、私はこの「マジシャンには人間的魅力が必要」という表現が嫌いです。なぜなら、まるで「この世には魅力的な人と、魅力がない人がいる」と言っているように感じるからです。
もちろん、マジシャンに限らず、魅力的な人はたくさんいると思います。しかし、マジシャン自身がこのような意識を持つのは正しいことなのでしょうか?それはもしかしたら、お客様に対しても「このお客様はあまり魅力がない人だな」などと値踏みすることにつながらないでしょうか?
「自分は普通の人よりも魅力的だ」と思っているマジシャンは嫌味です。かといって「自分には魅力がない」と卑下する必要もありません。私はパフォーマンスをする以上、お客様も自分自身も含めて、すべての人がそれぞれに魅力的であると思って演じることが大切なのではないかと思っています。
②倫理観は必要
コンプライアンスのようなものは年々厳しくなっており、昭和よりも平成、平成よりも令和の方が厳しくなっています。人間的魅力はさておき、少なくとも倫理観は非常に需要になってきているのではないかと思います。
といっても、すごく基本的なことだけだと思います。法律を守ること、あらゆるハラスメントをしないこと、暴言や人の悪口を言わないことなど、ごく当たり前のことですが、マジシャンも気を引き締めていかないといけないと思っています。
③良好な人間関係を築く能力
すぐに人とぶつかり、喧嘩になってしまう人は、やはり大きく損をしてしまうと思います。自分の信念を捻じ曲げてまで相手に合わせる必要はないかもしれませんが、それでも最悪の事態を避けることはできるはずです。こればかりはマジシャンに限らず、すべての人にとって必須の能力なので、私自身も常日頃から意識していきたいと思います。
④心の中にある様々な感情や考えを芸に生かす
マジックやパフォーマンスをしたときにすごく魅力的に見える人は、何が優れているのだろうかと考えたとき、それはその人が自分の気持ちや考え方、性格などの内面を上手くパフォーマンスに昇華しているのではないかと思います。
人間は生きている限り、いろんなことを考えたり感じたりしています。(逆に何も考えず、何も感じずに生きるのは、よほど特殊な修行僧でもない限り不可能で、むしろその方がすごいと思います。)
だから、自分が生きて考えたり、感じたりしたことをできるだけ良い形でパフォーマンスに生かすことができれば、よりよいパフォーマーになれるのではないかと思います。