ドラマ「十角館の殺人」感想

綾辻行人さんの傑作推理小説「十角館の殺人」がHuluでドラマ化されていました。ぜひ見たいと思っていたのですが、私はHuluに入っていないので未見でした。ところがこの年末年始に日本テレビで放送され、遅ればせながら見ることができたので感想です。

全体感想

私が綾辻さんの館シリーズの大ファンというのもありますが、最近でこれほど楽しくドラマを見たのは久しぶりでした。十角館の再現度も素晴らしかったですし、脚本や出演者の演技もとても良かったです。

島田さん、河南くんも良かったですが、個人的にはMVPはエラリイだったのではないかと思います。ミステリーオタクで知性を鼻にかけ、嫌みな奴ですが、優しいところや子供っぽいところもあり、愛すべきキャラクターです。結末を知っていたにも関わらず、エラリイに生き延びてほしいと願ってしまいました。

その点、アガサも必要不可欠だったと思います。館の中で精神的に追い詰められていく状況がこの作品の見どころのひとつですが、それを最もよく描いていたのがアガサだったと思います。

ちなみに劇中で島田さんとエラリイがそれぞれマジックをするシーンがありますが、やはりミステリー好きはマジックも好きなのですね。

小説との比較

結末を知らずにこのドラマを見ていたらもっと面白かったのに、と思いましたが、それでもやはり順番を考えたら、小説を読んでからドラマを見るのが良いと思います。

この作品に限りませんが、物語の筋書き、謎、結末がしっかり描かれているのが小説で、途中の雰囲気が伝わりやすいのが映像です。

追い詰められていく学生たちの雰囲気はドラマ版がとてもよく表現されていましたが、やはり「あの1行」に関しては小説版に軍配が上がります。小説では「あの1行」のための伏線がドラマ版よりも圧倒的に多く含まれており、よくできていると感じます。

綾辻さんはこの作品を何度も微調整しており、決定版といえる新装改訂版が最新です。

十角館の殺人 <新装改訂版>

次回作

十角館に続き、館シリーズのドラマ化第2弾もあるそうです。どの館になるのかは未発表ですが、順番的には水車館でしょうか?個人的には迷路館も有力な気がしています。

今回のドラマの出来がとても良かったので、10作全てドラマ化&双子館の完結を願っています。

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