これまで、子供に向けて演じるのに適したマジックや、大人向けのマジック、老人ホームなどで高齢者向けに演じるマジックの種類について、多くのマジシャンによって語られてきました。それも興味深いテーマなので、いずれこのブログでも扱うかもしれませんが、今回は演じる側の話をしたいと思います。
私の教室もおかげさまで受講者が増えてきており、年齢も様々な層になってきています。小学生から大学生、社会人から高齢者まで、幅広い世代の方がいらっしゃいます。当然私の教室だけでなく、日本中に各世代のアマチュアマジシャンが存在しています。
私は常々、子供が取り組むのに適したマジックと、大人に適したマジックの間には少しだけ相違があると感じています。同時に子供も大人も取り組んでほしいマジックと、子供にも大人にもおすすめできないマジックもあります。今回はそれをまとめます。
子供にも大人にも取り組んでほしいマジック
話をしながらのマジック
マジックの中には、音楽を流してまったくしゃべらずに演じる場合もあります。特にステージマジックで多いのですが、最近ではクロースアップでもあります。これはこれで効果的な見せ方であり、たくさんのメリットがあるのですが、やはりマジックに取り組む以上、話をしながらのマジックにも挑戦してほしいと思います。
子供の場合、人前で話す経験が積めるのは、かけがえのない財産になります。やはり子供によってはついつい皆の前では声が小さくなってしまったり、過度に緊張してしまったりします。これには百の言葉よりも慣れが重要なのではないでしょうか?人前で堂々と自分を表現できるようになれば、その子の未来に大きなプラスになると思います。
人前で緊張するのは大人も同じです。特にマジックの場合は通常のコミュニケーション以上に繊細かつ難解な部分があるので、尚緊張します。複雑な内容をシンプルにわかりやすく、できれば面白く話すというのは、誰もが必要とする技術なのではないでしょうか?マジックがそれに役立つこともあるかもしれません。
また、高齢者の方の場合、様々な能力の衰えを感じている方もいらっしゃいます。しゃべりながらマジックをするのは、たとえそれがどんなに簡単なマジックであったとしても、大変高度なことです。手を動かしながら、頭の中で同時に多くの処理をすることが求められます。マジックで様々な能力が活性化することができたら、これほど嬉しいことはありません。
本で習得するマジック
これは言わずもがなですが、本でマジックを習得するのは多くのメリットがあります。DVDなど、動画で学んでも良いのですが、それと並行して本で学ぶこともやはり重要です。文章を読む能力、それを理解する能力、そのマジックをイメージする能力、そしてそれを練習しながら再現していく能力が必要とされます。マジックが上手くなるために遠回りのようで実は近道といったところです。本についてはこれまでの記事にも書いてきたので詳しくは割愛します。
多少の手作業を必要とするマジック
道具を完全に手作りするとまでいかなくても、道具に多少の加工をして使いやすくしたり、特別にマジック用に作られたわけではない品物をマジックに使えないか考えたりするのも大事です。物の素材やその性質を詳しく知り、深く理解することで、マジックに役立つことは多いものです。少なくとも、マジック用の道具を買ってそれを演じるだけでは、文化的な行為ではないと私は考えています。
以上をまとめると、
- 話をしながらのマジック
- マジックの習得に本も活用すること
- 道具にも工夫すること
が万人におすすめということになります。長くなりましたので次回に続きます。