マジックにおいて最も古典的な練習方法である鏡についてです。
鏡を使うメリット
とにかくマジックは相手から見た状態をチェックするのが大切なので、鏡は便利です。また、マジックは自分の手元ばかり見ていてはいけないので、鏡を見ながら練習することで、まずは手元を見ないクセをつけることができます。
鏡では不十分な点
手元を見ないのは第一段階としてはクリアなのですが、実際に人にマジックを見せるときは、鏡越しにすら見ることができないので、本番の想定としては不十分です。また、視点が自分の目だけなので、やや高い位置からチェックすることになり、下からの目線や、左右斜めからの視線などはチェックすることが難しいです。
全身映る大鏡
大昔からマジシャン達は鏡を使って練習してきました。マジックをやっている人なら、鏡の前で練習をしたことのない人はいないと思いますが、やはり、どうせ鏡を使うなら、最も効果的なのは全身が映る鏡で練習することです。もしマジックの練習用に鏡を買うなら全身が映るものを選ぶべきで、中途半端な大きさのものを買う位なら、いっそ洗面所の鏡でも良いくらいだと私は思います。
全身映る鏡というと、バレエ教室のような壁一面の鏡を想像してしまう方もいるかもしれません。少なくとも身長と同じ高さの鏡がいるんじゃないかと思った方もいるでしょう。しかし、冷静に考えてみると実際にはそんなに大きい必要はありません。1辺の長さがあなたの身長の2分の1である正方形が正解です。
例えば身長160cmの人の場合、必要サイズは80cm×80cm、身長180cmの人でも90cm×90cmあればOKです。なぜなら鏡というのはあくまで鏡に映った自分の像が見られれば良いからです。
手書きの簡単な図解ですが、おおよそのところはわかると思います。必要な鏡のサイズは身長よりもずっと小さい(正確には2分の1)のです。
また、注意しなければいけないのは、横幅です。よく服屋に置いてあるようなファッションチェック用の縦長の鏡は、絶対に買ってはいけません。あれはあくまで、直立した状態で全身の服装を見るためのものです。マジックには動きがあり、手を横に伸ばしたりするので、ある程度の横幅が必要です。
またもや手書きの図で恐縮ですが(笑)、人間の身長と両手を左右に伸ばした長さは、ほとんど同じであるという法則があります。よって必要十分な横幅は縦と同じ、身長の2分の1ということになります。
さて、必要なサイズがわかったら、今度は実際の鏡選びですが、高級品は必要はないので、安全面や、取り扱いを考えてできるだけ安くてシンプルかつ軽量なものが良いです。インターネットで探すと1万円以内では買えそうです。
さらにその上を目指す方へ
というわけで散々鏡をおすすめしてきましたが、実は私は現在大鏡を持っていません(笑)。鏡は簡単なチェック程度には便利なのですが、やはり前述の不十分な点が気になり、手放してしまったのです。
現代におけるもっとも効果的な練習方法は映像を撮ることです。以前は、ビデオカメラが10万円以上したり、鏡以上に敷居が高かったのですが、現在は誰もが高性能なスマートフォンを持っているので、大変手軽になりました。しかも画質も大変良いので、あとは簡単な三脚さえ用意すればOKなので、むしろ鏡よりも安上がりです。
スマホ用三脚はたくさんありますが、通常は上のようなもので十分だと思います。
映像を撮るのは今のところ最高の練習方法で大きなデメリットはありませんが、欠点があるとしたら唯一、自分のマジックが下手すぎて死にたくなることくらいです(笑)。声まで録音したときにはもう…。しかしそれだけ効果があるということです。
ただし鏡の良さも完全に消滅したわけではありません。やはり鏡の前に立つだけでいつでもチェックできる手軽さはありますので、あとは家の広さや予算と相談といったところです。ちなみに家族や同居人がいる場合、大鏡は大人気になります。皆、出かける前や新しい服を買ったときなど、ついつい大鏡の前に立つものですから、買っても意外と無駄にはならないかもしれません(笑)。
この記事が皆さんのマジックライフのヒントになれば幸いです。