しゃべりながらマジックをする場合、事前にセリフをよく練っておくのはとても大事です。台本をつくるとき、ついつい言ってしまいがちなのですが、実は言わない方が良いセリフがいくつかありますので、ご紹介したいと思います。
言ってはいけないセリフその1 タイトル
マジックを始めるとき、ついついそのマジックのタイトルを言ってしまう人がいます。実は私も初心者のころ言っていました。なんとなく言わなきゃいけないような気がしていたのです。
しかし、言う必要はありません。「今日はアンビシャスカードというマジックをやります」とか、「これから3本ロープというマジックをご覧に入れます」などというセリフは基本的にはNGなのです。
タイトルを言わない方が良い理由は主に2つあります。1つ目はタイトル=テーマではないからです。一般的なスピーチなどで、最初にテーマを明確に述べるのは良いと思います。しかし、それと同じつもりでマジックのタイトルを言うのはダメです。どうしても最初にテーマを言いたいなら、「アンビシャスカード」というトリック名ではなく、「目立ちたがり屋のトランプ」などのように、自分が表現したいオリジナルのテーマを決めて、それを言うべきです。
2つ目は検索防止です。現在はインターネットでいくらでもマジックの種が検索できてしまいます。特に、マジックの作品名がわかっていれば検索は容易です。だからあえて正式名称は言わないことで検索を多少なりとも予防するのです。
そもそもマジックは論文発表や企業のプレゼンではないのですから、必ずしも最初にタイトルやテーマを述べる必要はありません。ただ単に「ではトランプのマジックをやってみます」のように始めても構いません。
言ってはいけないセリフその2 種も仕掛けもありません
マジックといえばこのセリフを言うイメージがありますが、最近ではほとんど使われなくなっていると思います。それもそのはずで、いくらマジシャンが種も仕掛けもないと主張したところで、それを信じろというのが無理な話です。
もし、道具に仕掛けがないのを強調したければ、道具をよく見せたり、相手に渡して調べてもらったりすればよいはずです。逆に、よく改めをしないで、セリフのみで種仕掛けがないことを強調するのは逆効果になってしまいます。
言ってはいけないセリフその3 謙遜
マジックの前に謙遜したセリフを言うのはやめましょう。例えば「私は不器用なので~」とか、「緊張しているので~」などです。実はこのような言い訳を言うのはどちらかといえば口が達者な方で、本当に口下手な方はあまり余計なセリフを言わないものです。自分はしゃべるのが得意だと思っている人ほど注意が必要です。
マジックの前に言い訳をしてはいけない理由は、言い訳することでハードルが下がるどころか、マイナスからのスタートになってしまうからです。マジックというちょっと珍しいものを見せるわけですから、相手も多少なりとも楽しみにしてくれていると思います。それを壊さないためにも変化球なセリフは使わず、直球でマジックを見せた方が高評価です。
以上、マジックで言ってはいけないセリフ3選でした。ではもっと具体的に、どんなセリフを構成したらよいのか、それはやはり演目と演者の雰囲気によって変わってきますので、私も教室などでは一緒に考えています。