小説「凍てる輝きとペペロンチーノ」感想

最近、偶然知り合った小説家の城井映先生の作品を読み、せっかくなので感想を書いてみました。

ネタバレはほぼないと思いますが、これから読む予定の方はご注意ください。

またマジックにはほぼ関係ありませんがご了承ください。

凍てる輝きとペペロンチーノ(Amazon)

まず、タイトルからして内容が想像もできませんが、読んでいくと途中で意味が分かるようになっています。

ジャンルが難しいですが、私なら「青春ファンタジー」に分類するかな、と思います。主要な登場人物が高校生で、超自然的な現象が起きるからです。

私は普段マジックの本の他は、東野圭吾さんか将棋の定跡書くらいしか読まないので非常に新鮮で刺激になりました。

この作品の骨子となるのは主人公が「言葉を失う」という設定です。

具体的には他人の話す言葉が日本語、外国語問わず理解できなくなることと、同様に文章も全く読めなくなるのです。

これは考えてみれば、視覚や聴覚を失うことと同等か、それ以上の恐怖です。

私には到底考え付きそうにない設定ですが、長年作家を志してきた城井先生だからこそ、言葉の大切さ、言葉のありがたさ、言葉がぞんざいに扱われることの無念さが描けるのだと思います。

城井先生の作品の書籍化は今作が初めてだそうですが、とても完成度が高いと感じましたし、中盤から終盤にかけては本当に感動しました。

堅苦しくない文体で、すらすらと読む進められる上、登場人物が少ないにも関わらずしっかりと物語の起伏があります。

これだけ絶望に満ちた設定にもかかわらず、安易なバッドエンドやデッドエンドに陥らないのも良いと思いました。

死んで終わり、というのはある意味安直な終わり方で、気軽に採用してはいけない気がします。

やはり若者が主人公である以上、希望ある結末を迎えてほしいと私は思うのです。

また、これは城井先生に限った話ではありませんが、男性作家で女性を主人公(またはその逆)にするのはよく書けるものだなという思いもあります。

というのも私が小説を書くとしたら間違いなく主人公は男性で、しかも自分と似た性格にするだろうと思うからです。

自分と違う性格、ましてや異性ともなると、どう感情を描写してよいか、見当もつかないからです。

それだけ私が女心がわかっていないということでもあるでしょう。

私は順番的に著者を知ってから作品を知りましたが、いきなり作品を読む読者はどんな著者像を想像するのでしょうか?

ちなみに城井先生は今のところ顔を出しての活動はされていないようですが、優し気なイケメンです。

優し気というのは私の主観ですが、これだけ繊細で優しいストーリーを書けるというのは実際優しいのだと思います。

今後の城井先生のご活躍をお祈りすると同時に、私もジャンルは違えど頑張りたいと思います!

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