ひとつ演じるふたつ演じるみっつ演じる

実はマジックはひとつ演じるだけでも大変なこと、それを2つ、3つ、それ以上演じるのは本当に凄いことなのです。

ひとつ演じる

マジックをひとつ演じるだけでも、簡単なことではありません。

それは誰にどのような状況で見せるかを考えなくてはいけないからです。

そのために適したマジックを選び抜くことが必要で、たったひとつ演じるために10や20のマジックから選ぶこともあります。

マジックそのものの巧拙と同じかそれ以上に、マジックのチョイスのセンスが非常に大切で、かくいう私も何度失敗したかわかりません。

「このマジックじゃなくて、別のマジックをやれば良かった」という後悔はおそらくマジシャンが全員経験しているでしょうし、私も今後もすると思います。

「何を演じるか」というのはそれだけ難しい問題なのです。

一方、その場にピタリとはまったマジックを演じられたときは、効果抜群で、マジックをやっていて良かったと思える瞬間です。

ふたつ演じる

2つ演じることにするだけでも、マジックの構成の面白さ、奥深さを存分に味わうことができます。

まず、せっかく2つ演じるのですから、見ていてはっきり異なるマジックを演じることが大切です。

道具を変えても良いですし、同じ道具でも現象や演じ方をはっきり変えることで、「同じようなマジックを2つ見た」という印象を避けます。

また、「2つのマジックが矛盾していないか」視点も大切です。

典型的な例を挙げると、ロープの結び解けの後に、縄抜けの脱出マジックを演じたらどうでしょう。

どちらも単体では良いマジックですが、ロープを結んではほどけ、結んではほどけ、というのを繰り返し見せたら、「このマジシャンにとってロープは簡単にほどけるのだ」という印象を与えます。

その後、縄抜けの前に「しっかりと結びましたから、決してほどけることはありません」などと言っても、信ぴょう性が薄いでしょう。

このように複数演じる場合、マジック間で足を引っ張り合うことがないか、確認する必要があるのです。

また、どちらを先に演じ、どちらを後に演じるのが効果的かを考えるのもとても良い勉強です。

3つ以上演じる

マジックを3つ以上演じるとなると、時間的には10~15分になるでしょうか?

15分しっかり演じることができたらセミプロの入り口で、場合によっては謝礼をもらえることもあるかもしれません(アマチュアなのにあまりお金に執着するのはよくありませんので、もらえたらラッキー、というくらいのスタンスが良いと思います)。

3つ以上演じることになると、いよいよオープニングとエンディングという考え方が出てきます。

つまり最初と最後に何を演じるか、です。

もっとも勉強になるのは、自分よりも上手い人の演技を見ることです。

特に、最初に何を演じているか、最後に何を演じたか、をよく見ていると、面白い発見がたくさんあるはずです。

もちろん、複数のマジシャンを見た方が良いでしょう。

残念ながらテレビではあまりマジシャンの構成力を見ることはできません。

ひとりのマジシャンがある程度まとまったショーを演じているのを見るのが大切です。

実際、優秀なマジシャンほど、他のマジシャンが演じるショーを1回見ただけで、内容をよく覚えていて、細かく分析しているものです。

それだけ、見る力が養われているということでしょう。

ところで、マジックの中には「オープニング向き」「エンディング向き」といわれるマジックが確かにありますし、それは一定程度有効だと思いますが、今の私は以前に比べて、そういったことに捉われなくなってきています。

つまり、どんなマジックでも演じ方や表現方法次第ではオープナーにもなるし、クローザーにもなるのではないか、という考えに変わってきたのです。

「辿り来て未だ山麓(升田幸三)」ということでしょうか?

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