シルクマジック 序論

今回からパーラー~ステージマジックの花形、シルクマジックについて書いていきます。

マジックを道具別にみたとき、(私の中で)4大ジャンルといえるのがカード、コイン、ロープ、シルクです。その中でクロースアップに強いのがカードとコイン、ステージに強いのがロープとシルクです。

シルクとは

シルクは普通、素材としての絹の意味ですが、マジック用語としては絹でできた大小カラフルなマジック専用の布切れのことを言います。

シルクマジックの強み

シルクマジックの強みは、圧倒的に目立つことです。カードとコインはサイズ自体が小さく、ロープも長さはあっても、結び目や端などはやはり大変小さいものですから、シルクが最も目立ちます。昨今はPC、スマホの影響や、高齢化などによって視力が悪い人が増えていますから、離れていても見やすいというのはかけがえのないメリットで、ありがたいマジックです。

また、当然ですが、美しさも強みです。その他の道具もそれぞれに美しさはあるのですが、道具単体でわくわくさせるような見た目をもっているのはシルクの大きな特徴です。

また、軽いので持ち運びが楽なのもマジシャンにとって利点です。

シルクマジックの弱み

残念ながらシルクマジックは弱点も多くあります。

マジック用ということ

まず、カード、コイン、ロープ、シルクの中で一つだけ仲間はずれがいることを確認してください。言うまでもなくシルクです。シルクだけは、マジック以外に使われることがないものなのです。

トランプはゲーム用として、コインは流通、ロープも日用に使われるのに対し、シルクは明らかにハンカチではないのでマジック用のものとなってしまいます。そのため、お客様に対して「ハンカチ」と呼ぶのも違和感がありますし、かといって「シルク」と呼ぶわけにもいかず、説明に困ります(実際には妥協して「ハンカチ」や「スカーフ」と呼ぶことが多いと思います)。

いっそのこと本物のハンカチやスカーフで演じる手もあるのですが、マジックによってはそうもいかないのも多いです。とはいっても、マジック自体が面白ければ多少不自然な道具を使ってもOKなのが芸能、という考え方もあります。

保管・管理の面

シルクは軽くて持ち運びやすい反面、しわになりやすく、保管・管理に気を使います。私なりに工夫した保管・携帯方法は今後の記事でご紹介していこうと思います。

コストの面

先ほどの4つの道具の中で、コインは半永久的に使えますが、カード、ロープ、シルクは消耗品です。中でもシルクはやや値が張ってしまうので、少し不利です。しかし、多くのマジシャン達がアドバイスしているように、シルクは美しさが命ですから、傷んだり汚いシルクを使ってはいけません。最初の内は無理な力がかかって傷みも早いのですが、上達するとある程度長持ちするようにはなってきます。

準備の面

シルクマジックは準備に手間がかかるものが多いのも特徴です。しかもできるだけ本番直前に仕込んだ方が良いものが多く、その点も悩みの種です。逆にいうとできるだけ丁寧で、間違いのない仕込みがしてあれば、それはもうマジックが半分成功したようなものです。上手いシルクマジシャンは必ず仕込みも速くて綺麗です。それくらい仕込みの重要度が高いのです。

まとめ

なんだかずいぶん弱点が多い印象になってしまいましたが(笑)、シルクが織り成すときめきとお客様の反応がそれらをすべて消し去ってくれると思います。次回以降、さらに詳しくシルクマジックの情報を書いていきたいと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました。

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