シルクの保管と手入れ

マジックの基本用具の中でももっとも保管に気を使うのがシルクです。

シルクの保管方法

紙に巻く

私もカズ・カタヤマさんの著書で知ったのですが、模造紙などの大きな紙に巻いておく方法があります。30cm角、45cm角など、サイズ別にそれぞれ一回り大きく切った紙を用意し、紙の上に保管したいシルクを重ね、シルクごと紙を巻いてしまって、輪ゴムなどで留めておくのです。1枚の紙で、数枚~数十枚まで巻いておけます。しわも折り目も付かない、もっとも良い保管方法のひとつですが、長さが長くなってしまうため、携帯にはあまり向きません。

箱に入れる

もっとも常識的な方法ですが、普通にたたんで箱に入れておく方法もあります。そのとき、箱はできれば缶のような金属製ではなく紙箱がおすすめです。一般的に布類は密閉するよりも多少の通気性があった方が良いからです。同じ理由でビニール袋に入れるのも推奨されません。ビニール袋はしわを防ぐこともできないので尚更です。

ラッピング用品として紙箱自体を買うこともできますし、お菓子の箱で、きれいなちょうどよいサイズがあれば利用できます。携帯にも便利な方法です。

ハンカチと一緒に畳む

これは私が発見した方法(ただし、偶然同じ方法を思いついていた方もいるかもしれません)です。そもそもシルクが携帯や保管に困るのはふにゃふにゃすぎてすぐに傷んだりしわが付くからだと考えました。たとえばシルクをただ単に畳んで裸でカバンに入れると、すぐに変形してしまい、畳んでいないのとあまり変わりません。

そこでバンダナなどの大判のハンカチと一緒に畳む方法を思いつきました。ハンカチの上に数枚のシルクを重ね、シルクごとハンカチを畳んでしまうのです。こうすることによってカバンや引き出しの中でシルクがよれることなく、おまけに汚れからも守ってくれます。通常のバンダナは約50cm角ですので、20~45cm角のシルクはもちろん、四つ折りにすれば90cm角のシルクまですべてのサイズがOKです。また、ゆるやかに畳まれるため、ほとんど折り目がつかず、しかも1枚のバンダナで、それなりに多くの枚数を畳めます。

私の知る中で最も省スペースで携帯に適した保管方法です。

シルクの手入れ

まず最初に大切なことを言っておきますと、プロマジシャンはほぼシルクの手入れをしません(笑)。手入れが必要なほどボロボロになったら新しいものに換えてしまうからです。仮に手入れによってシルクのしわや汚れを落とすことができても、シルクの張りや弾力は戻らないから、というのもあります。よって通常は保管と携帯にだけ気を付けてできるだけ長持ちさせるのが良いかと思います。また、単純にシルクマジックに熟練していくと、シルクの性質に反する扱いをしなくなり、結果として自然にシルクが長持ちするようになります。

しかし手入れの方法がないわけではないので、基礎知識として書いておきます。

アイロン

狭いスペースに押し込まれたまま、忘れ去られてしまった場合など、シルクにとって最悪の状態を脱することができます。普通に低温でアイロンをかけるだけです。シルクの手入れは通常はこれだけで十分です。

洗濯

滅多にやりませんが、シルクは一応洗うこともできます。水かぬるま湯でそっと手洗いします。石けんをつけてもかまいません。ただし色移りするので違う色のシルクを同時に洗うことはできません。色落ちしますが、そもそもシルクはそう何度も洗って使うものではないので、気になるほどではありません。また、乾くまで他の服などにつかないように注意しましょう。

このことからわかる通り、シルクは水に弱いので、できるだけ濡れた手や汚れた手で触らないことも大事です。また、手に汗をかきやすい人はさらさらの人よりもシルクの寿命は短くなる傾向はあります。

シルクはアイロンや洗濯によってコシがなくなり、柔らかくなるのであえてそうしたい場合は使える方法かもしれません。

以上を知ったうえで、練習と保管に勤しめば9割のマジシャンよりもシルクに愛されることでしょう!

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