緊張することは、つくづく良いことだと感じます。新しい季節に、新しい環境で、緊張や不安がある方も多いと思いますが、それも良いことだと思うようになりました。
なぜ緊張するのが良いのかというと、それは一生懸命、しっかりやろうとしているからです。誰でも、本当に「どうでもいいや」と思っている事柄に関しては緊張しません。
また、私自身や周囲を見ても、基本的には若いときの方が緊張しやすく、年齢が上がるにつれて緊張しにくくなるように思います。それは若い頃の方が自分をよりよく見せようとしたり、新しい挑戦をする機会が多いからかもしれません。また、年齢が上がると経験を積んで様々なことに慣れ、多少のミスでは致命傷にならないことがわかってくるからかもしれません。
だから若い方で上がり症の方も、徐々に改善していくだろうと気楽に考え、むしろ緊張するほど大切な局面を迎えられたこと自体がありがたいと思えたらよいと思います。
また、年をとっても何かに挑戦すれば、いつでも緊張できると思います。もちろん私自身もこれからも挑戦を続け、それを証明し続けたいと思っています。
しかし、いくら緊張するのが良いこととはいえ、緊張しすぎで実力を発揮できないと困ってしまいます。それには基本的に準備をしっかりやるのが良いと思います。
マジックで言えば、練習不足で成功率が低いとか、道具の調子が悪くて失敗しそうだとか、そのような不安要素で緊張するのはよくありません。
私が学生の頃を思い出すと、新学期の自己紹介で極度に緊張している生徒がいました。自己紹介なら、家でシミュレーションしておくのが良いと思います。クラス全員やるのですから、どうせ一人当たりの時間は長くありません。名前、部活、好きな教科、新学年の抱負などを想定して練習しておけばだいたい大丈夫なはずです。
また、仕事のプレゼン(説明会)で緊張すると言っていた方もいました。しかし、その人は月曜日にプレゼンがあるにもかかわらず、土日は休みだから何もしなかったそうです。私はその人を非難するつもりはありませんし、サービス残業を肯定するつもりもありませんが、私にとっては信じられません。大勢の前に立つのは自分にとっての晴れ舞台と考え、給料などは一切関係なく、土日返上で準備したと思います。真面目とか仕事熱心とか、そういうものではなく、本番というものに全力をかけて臨んで評価を受けたいのです。そもそもマジシャンは仕事とプライベートが非常に曖昧な働き方をしているので、そういう方は多いと思います。
春は特に新しい環境が多くなる季節です。まだ少し肌寒いのに、はりきって薄着で家を出て、より一層心細くなります。それがとても清々しく感じます。