小説「変な地図」感想&勝手に「変な○○」ランキング

先週発売の話題作「変な地図」を読みましたのでその感想と、私が思う変な○○ランキングです。

私は著者の雨穴さんの大ファンなので「変な家」「変な絵」「変な家2」と「変な○○シリーズ」はすべて読んでいます。

今回の変な地図も楽しみにしていました。

よかったところ

変な○○シリーズは基本的にはホラーに分類されていると思うのですが、私は限りなくミステリーに近いと思っています。

なぜなら幽霊やモンスター、怪奇現象の類は一切起こらず、最後にはすべてが説明されるからです。

今回の変な地図は今まで以上にミステリー小説になっていました。

ホラーでなくミステリーとしても十分に面白く、まったく飽きさせない映画のような展開で、あっという間に読めてしまいました。

また、単に「怖い」「奇妙」な話に終わらず、今作の主人公の栗原さんが悩みや苦しみを乗り越えて成長していく人間ドラマとしても描かれているのが素晴らしいと思いました。

不満なところ

全体の展開、ストーリーとしては面白かったのですが、期待が大きかった分、少し不満なところもありました。それだけ前3作の完成度が素晴らしかったのです。

まず、今回のテーマとなる「変な地図」が、たったの1枚、それも非常に簡素な地図1枚だけ、という点です。

変ではない地図、いわゆる普通の地図も何枚か登場するのですが、どれも非常にシンプルな地図です。

変な○○シリーズ読者としては、「一見普通に見えるけれど、深読みすればするほど怖ろしい地図」のようなものをつい期待してしまっていたので、一見して明らかに変な地図が1枚だけ、というのは少し物足りなく感じました。

また、今までの変な○○シリーズの特徴として、無関係に思えたいくつものエピソードが次々とつながっていくカタルシスがあり、それが雨穴さんの持ち味だと思っていたのですが、今回は割と普通の小説っぽくなってしまっていた感じがします。

ただし、今回はどちらかというとスピンオフに近い位置づけであり、主人公も違うので趣向を変えたのかもしれません。

変な○○ランキング

せっかく「変な○○シリーズ」をコンプリートしているので、私の独断と偏見でランキングを発表します。

1位 変な家2

変な○○シリーズ3作目、雨穴さんの真骨頂ともいえる「間取りミステリー」としては2作目で、洗練された傑作です。

壮大にして緻密、雨穴さんの計り知れない才能を感じました。

2位 変な家

衝撃的なデビュー作で、「間取りミステリー」という新境地を切り開いた一作です。

もちろん従来のミステリーにおいても、舞台となる建物の間取りが描かれることは昔からよくあります。

ただ、一見すると普通の家の間取りに奇妙な点を見つけ、そこから徹底的に考察・想像することで、怖ろしいミステリーが幕を開ける構成は驚きでした。

3位 変な絵

こちらも甲乙つけがたい傑作で、栗原さんの緻密な推理によって徐々に明らかになる絵の真相から驚きの展開が待っており、本当に凄い小説です。

デビュー作「変な家」の衝撃と期待を全く裏切らない2作目です。

「変な地図」に関しては前3作に比べて少し劣るかなと思いましたが、1冊の小説としては十分面白かったです。

もし「変な○○」5作目が出たら、必ず読むと思います。

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