サーストンの3原則は、このブログでも何度か取り上げたことがありますが、このルールに対する賛否などを考えます。
サーストンの3原則とは、
- 種明かしをしてはいけない
- 同じマジックを2度繰り返してはいけない
- 予め現象を説明してはいけない
というものですが、これが一般にマジシャンが守るべきルールといわれています。
ただし、サーストンの3原則に対して否定的な意見もあり、
- そもそもサーストンが作ったものではない
- 日本以外ではあまり知られていない
- 例外が多数存在する
などが主です。
1と2に関しては実際にそうなのだろうと思います。
しかし、これは実際にサーストンの3原則そのものの有効性には関係がないため、問題となるのは3です。
サーストンの3原則に否定的な方の多くは、3原則が必ずしも成り立つわけではなく、むしろ破った方が効果的な場合があることを言っている場合が多いです。
これもたしかにその通りだとは思いますが、同時にそのようなことを言う方は、自分自身が一定以上の実力や経験があり、周囲の仲間もまた実力があるのだろうと思います。
しかし、本当にマジック初心者の方と関わると、サーストンの3原則の偉大さを思い知ることになります。
例えば、マジックを見せた後に自分から種明かしをしてしまったり、種を聞かれたら簡単に答えてしまったりします。
「もう1回やって」と言われても応じてしまいますし、その結果種がバレることにつながります。
また、カードマジックを演じるときに、「今からトランプを1枚選んでもらって、それを当てるというマジックをやります」などと説明してしまったりします。すると、とんでもなくハードルが上がり、観客は絶対に当てさせないようにあの手この手で工夫することになってしまうのです。
まずは、「種を教えて」「もう一回やって」と言われたときに断る勇気を持つのが大切です。
例えば「種を教えて」と言われたらどうやって断ればよいでしょう?
シンプルに「このマジックは種を教えることができないのです」と言っても良いですし、もう少し丁寧に説明するなら、「マジックは1つ種明かしをしただけでも他のたくさんのマジシャンに影響してしまうので、種明かしできないのです」などと言っても良いでしょう。
また、実際にはマジックが上達するにつれ、あまり露骨には種を聞かれなくなってきます。
見た人の心の中でも、「こんなにすごいマジックの種は教えられないだろうな」という気持ちが芽生えるからです。
同様に「もう1回やって」に対しては、「このマジックは1回しかできないのです」と言ったり、もう少し丁寧に対応するなら代わりに別のマジックを演じる方法もあります。
意外に難しいのが、「予め現象を説明しない」です。
これはセリフを整理するしかないのですが、セリフをどのように構成するのが良いかは、マジックによって変わりますし、自分でもなかなか気付けないものです。
マジックのセリフがかなり丁寧に載っている本などで学ぶか、教室などで人から習う方が早いかもしれません。
実際、いくつかのマジックを良いセリフとともにマスターできれば、他のマジックでも自然な台本を構成できるようになると思います。
いずれにしても、サーストンの3原則をあえて破るというのは高度な話で、基本的には今でも有効なルールだと私は思っています。