マジックウォンドの自作②~クロースアップ編~

クロースアップに使えるマジックウォンドの作り方のアイディアとその考え方をご紹介しようと思います。ただし、コロナの影響で材料の調達にはまだ支障があるかもしれませんので、今は計画を立てるだけでも楽しいと思います。

それでは早速3つのアイディアを順に紹介したいと思います。

1.無加工丸棒

クロースアップ用の道具において重要なのは高級感です。しかし、本当に高価な物を使うだけが高級感ではありません。例えば皆さんは紙コップを使ったマジックを安っぽいと思うでしょうか?実は紙コップ自体は安いのですが、不思議と安っぽくはありません。実際、テレビや舞台で紙コップを使ったマジックを演じるマジシャンはたくさんいます。

それでは紙コップに、油性ペンで手書きのデコレーションを施すとどうでしょう?余程の絵心のある人を除いて、猛烈に安っぽくなると思います。つまり、安っぽさを出さない秘訣、キーワードは「無加工」にあります。素人が加工するとどんどん安っぽくなるのです。

そこで1つ目のアイディアは木の丸棒を無加工で使うことです。東急ハンズやホームセンターなどで売られています。

木の種類ですが、ヒノキ、ラミンなどの白っぽい木は、無加工だと表面が汚れやすく、あまりおすすめではありません。オークやカツラなど、色の濃い素材を使うと汚れにくく、また使い込んでも味わい深くなります。

直径は1cmか1.2cmくらいが使いやすいと思います。長さは標準的には30cmくらい、長めが好きな方は35cmくらいだと思います。ただし長さだけは通常かなり長めの木材として売られていますので、自分で切るか、店によっては切ってもらうこともできます。

また、少しこだわる場合は面取りといって角を紙やすりで少し落としておくと、触ったときに痛くなく、トゲも刺さらなくなりますし、角が欠けにくくなって耐久性も上がります。

2.アクリル棒+カッティングシート

私は金属製のウォンドが重すぎるのと周りの物を傷めるのとであまり好きではないので、木材以外の選択肢となるとアクリルなどの樹脂系の素材になります。これまたハンズやホームセンターなどで透明なアクリル棒が手に入ります。アクリルは木材以上に切るのが難しいので、できれば切ってもらえる店で買うのが良いと思います。

サイズは木製の場合と同様ですが、アクリルの方が重く、好みによっては使いやすく感じるかもしれません。ただし、完全に透明なまま使うのは、個人的にはちょっと物足りないというか、もう少し存在感を出したい気がします。そこでカッティングシートを使うのはいかがでしょうか?

もちろん、シートで完全に覆ってしまうとせっかくの透明素材が生かされません。そこで、例えば30cmのウォンドなら、幅20センチくらいのカッティングシートでウォンドの中央部分だけを覆うようにしてみます。すると、両端5cmずつが透明でお洒落なウォンドができます。シートの色は黒が最も無難ですが、ここは多少個性を出して他の色でも良いと思います。

当たり前ですが、カッティングシートは貼ったときにシワや気泡が入ると猛烈に安っぽくなりますので、慎重に作業しましょう!

3.丸棒+塗装+カッティングシート

最後にもっとも手の込んだアイディアをご紹介しましょう。木製の丸棒の両端を塗装した上で、中央はカッティングシートで覆うのです。いや、それなら全部カッティングシートを使えば良いじゃないか、と思うかもしれません。しかし、カッティングシートを使った場合、最も剥がれて傷みやすいのが両端です。両端は塗装の方が質感が良くなるのです。

それでは、全部塗装にすればもっと高級感が出るのでは?と思うかもしれません。しかし単に塗装で色を塗り分けるのは何故か逆に安っぽくなります。これは紙コップのデコレーションと同じく、加工感が出過ぎるせいではないかと思います。

両端の塗装はできれば屋外用などの塗膜の強い塗料が良いと思います。色は白が基本で、白以外なら明るめの色が良いと思います。なぜなら両端が暗いとウォンドの存在感が小さくなってしまうからです。また木の質感を生かして、ニスなどの透明感のある塗料も良いと思います。

ハケで塗っても、スプレーでも良いと思いますが、スプレーを使う塗装は失敗談をよく聞きます。その原因はシューっと1ヶ所に吹き付けてしまうからです。吹き始めと吹き終わりは対象物にかからないように、スプレーを動かしながら塗ればよいのですが、この辺のコツはインターネットでDIY関連をよく調べてから作業すると良いと思います。

さて、真ん中に貼るカッティングシートについてはアクリル棒のときと同じなのですが、今回はカラーコーディネートを考える必要があります。例えば両端を黄色、中央を青にした場合、あまりにおもちゃみたいな印象になってしまいませんでしょうか?それは色数を使い過ぎたからです。

例えば両端を木の質感を生かした黄色系にしたなら真ん中は黒で引き締める、など、色数を抑える工夫が必要です。いずれにしても3つ目の方法は最も多くの加工が必要なので、作業が大変なだけでなく、必然的に安っぽくなりやすい危険がありますので、挑戦する場合は一つひとつの加工をできるだけ丁寧に行う必要があります。

最後に

以上、3つのアイディアをご紹介しましたが、同時にマジックの道具の自作や加工に関する考え方も書いたつもりです。ウォンドだけでなく、他の道具の自作や加工の参考になりましたら幸いです。次回はステージ編です。

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