よみうりカルチャー大宮ミニ発表会を終えて講評など

先日、私が講師を務めているよみうりカルチャー大宮のマジック講座でミニ発表会を行いました。そこでの感想を含めて、マジックをやっている人に役立ちそうなヒントを書いてみます。

ミニ発表会の概要

発表会といっても普段の教室で行い、お客さんは、他の受講者と私、そしてカルチャーセンターの職員の方数名をお招きしたのみです。受講人数の関係から、1人10分以内というルールで、自由な演目を演じていただきました。

発表会の目的としては、10分とはいえ、ある程度まとまった時間を普段よりも少し緊張感をもって演じる機会をつくりたいという考えです。そうした場が1回でも多くあると、その分緊張に強くなりますので、有意義なものだと思います。

全体の講評

10分以内=8分以内

今回、私が10分以内というルールを設けた理由は、発表会全体の時間から逆算しただけでなく、コンテストも5分以上10分以内というルールが多いこともあります。発表会ですから順位は付けませんが、かといって全体でひとつのショーとして構成したような本格的な発表会でもありませんから、雰囲気としてはコンテストに似ています。ただし、受講して間もない受講者の方もいらっしゃるので、5分以上という制限は外しました。

また、今回はあらかじめ簡易的な進行表をお渡しし、記入していただきました。「進行表」というものに慣れるのも大切ですし、自分の演目とその所要時間を把握することも重要だからです。(基本的にはほとんどのマジックショー、コンテスト、発表会において進行表が使われます。)

さて、提出していただいた進行表を見て驚き(笑)だったのが、演技の合計時間が10分となっていた方が複数名いたことです。仮にルールが「10分程度」であった場合、それでよいのですが、「10分以内」の場合は8分以内で構成するのが基本です(と私は思っています)。というのもマジックには不確定要素も多く、特に今回のようにクロースアップ~パーラーのような規模の場合は、お客さんとの関係もあり、時間が多少前後してしまうことがよくあるからです。コンテストの場合、6分でも9分でもOKですが、10分1秒は失格で、審査されません。(ときどきコンテストで9分30秒くらい演技される方がいて、観ている側はかなりハラハラします(笑)。)

今回はコンテストではないので、それほど厳しくありませんが、後に演じる人のためにも、できれば「10分程度」と「10分以内」の区別は意識したいところです。

進行表は絶対ではないけれど…

先ほども書いたように、マジックは不確定要素があり、進行表通りに進まないことも往々にしてあります。むしろ何かアクシデントがあっても上手く切り抜けるのも大切です。しかし、特別な理由もなく、進行表にないマジックをやったり、進行表に書いてあるのにやらないのはやめましょう(笑)。音響さんや照明さんが混乱してしまいますし(今回は音響さんも照明さんもいませんが)、自分の演目、手順を把握することも発表会の意義のひとつです。

全体的な注意点は以上2点ですが、逆にいうと最初から8分程度で構成し、しかも進行表から逸脱せずに最後まで演じ切ってくださった方もいました。これは一見当たり前のようで難しく、かなりの努力を要するものです。私としても大変うれしく思います。

個別の講評

音楽について

音楽を使うのも自由なのですが、音響機材は持参していただき、また著作権フリーの音楽を使っていただきました。カルチャーセンターの場合、通常の音楽を使うと、著作権料として受講者全員から追加料金を徴収しなければならず、それはわずらわしいからです。そんな中、受講者の方はきちんと著作権フリーの音楽を探してきてくださり、大変助かりました。ありがとうございました。

また、機材もコンパクトで、教室で使う程度なら十分の音量があったと思います。自分の機材を使うことで、扱いにとまどうこともなく良かったと思います。

講座で扱ったマジック(とカップ&ボールについて)

受講者の方全員が、講座で扱ったマジックを含めて演じてくださり、その点も大変ありがたく感じました。もちろん講座以外で覚えたマジックを演じるのもOKなのですが、やはり練習成果を見ることができて嬉しいものです。(ちなみにこの発表会では、あくまで各自の上達が目的のため、他の人とのネタかぶりもOKとしています。)

個人的に書いておきたいこととして、カップ&ボールを演じてくださった方がいました。カップ&ボールは講座でも扱ったのですが、簡単な手順の他に、有名なダイ・ヴァーノンの手順も詳しく講習しました。演じられたのはそのヴァーノンの手順で、素晴らしい出来で、ファイナルロードもバッチリ決まっていました。

アマチュアでヴァーノンの手順をしっかり演じられる人はなかなかいませんので、これは「私の教え方が余程上手かった」のではなく、本人の努力とセンスのおかげだと思います。また、使ったカップはプラスチックの安価なカップで、ボールも本格的なニットボールではなくて軽いポンポンのようなもの、ウォンドの代わりにペンです。というのも、講座で扱う場合、本格的な金属製のカップに、ニットボール、ウォンドのセットは値段が高すぎるため、私の方ではそちらを強制しなかったからです。マジックに詳しい方なら、その道具のハンデを背負ってバーノンの手順を演じる技量がおわかりでしょう。

逆にこのレベルに到達したらそろそろ金属製のカップを買ってもよいとも思います。カップ&ボールを取り組む方に、個人的におすすめなのはウディ製とバザール・デ・マジア製のカップです。(私の記憶だとバザール・デ・マジアの方はカップは良いのですが、付属のボールの方は少し大きくてちょっと扱いづらかった気がします。)材質はアルミ、銅、真鍮などがありますが、これは好みが分かれます。巷ではアルミ製はよくないといわれますが、私は軽めのカップが好きなので、アルミ製も好きです。アルミは鏡のように反射してしまうとも言われますが、実際にはアルミニウムはすぐに白い酸化被膜に覆われ、気になるレベルではないと思います。(例えばクロムメッキだったら気になるかもしれません。)長くなりそうなのでカップ&ボールについては今後記事にしましょう(笑)。いずれにしても今後もぜひとも研鑽を積んでより良いカップ&ボールの演技を磨いていただけることを願っています。

その他の方も、講座で扱ったマジックを上手に演じてくださった方が多く、講師冥利に尽きます。

演じる順番について

複数のマジックを演じる場合、どのような順序で演じるかは大変重要な要素で、全体の印象も左右されます。何名かの方は、私の方でお願いして、私がより効果的だと思う順序に変更していただきました。これに関しても、皆さんが大変柔軟に対応してくださったので、助かりました。実際の演技を見て、やはり変更した効果があったと思いました。

出演順について

今回の発表会においては、全体構成をそれほど意識したものではなかったので、出演順についてあまり深い意味はなく、当日私の独断で決めさせていただきましたが、その点も皆さんが大変柔軟で、不平がひとつも出ることがなかったのは大変ありがたく、私は本当に良い受講者に恵まれたと思いました。

良くある話としては、「一番最初はちょっと…」とか、「この人の後にはやりづらい」など、気持ちはわかるのですが、全体構成上仕方がない面もあります。その点今回は本当にスムーズでした。

エキシビション?

私だけ何も演じないのもずるい(?)のでエキシビション的な感じで最後にやりました。演目はインターナショナル・カード・トリックのマイバージョンです。原案は以下の本に詳しく載っています。

このマジックを選んだ理由は、演じる機会が滅多にないから(笑)と、私だけ何か特殊な道具を使ったりするのは他の受講者の方に対してフェアでないと思い、レギュラーデック一組で勝負しようと思ったからです。また、今回のように短時間(一応私も持ち時間10分)演じる場合は、単発ネタを2,3演じる方がウケるのですが、発表会の主役は私ではないので、安易なウケは狙わないという方針でした。しかしインターナショナル~は演じるのが大変しんどいマジックで、まず手順が長いので覚えるのが大変、そして間延びさせずに演じるのも大変です。それを力技で演じ切りましたが、エキシビション(模範演技)にはなったでしょうか?それは私が決めることではありません。

おわりに

私の講座では今後も様々な形での発表会を予定しています。発表会が受講者の皆さんの上達の一助となり、また、それを私がブログに書くことでそれを読んだ私がまだ会ったことのない誰かのお役に立てれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です