新型コロナウイルス対策で、3密を避けましょうということが言われて久しいですが、マジックと3密の関係について思ったことを書いてみます。
3密とは密閉、密集、密接の3つのことだそうです。これらは3つともマジックや様々な芸能にとって重要な要素なので、順番に書いていきます。
マジックと密閉
密閉されたマジックショーの代表はライブハウスや小劇場などの空間で行われるショーで、反対に密閉されていない代表が完全に屋外で行われる大道芸です。
基本的にはショーは密閉されている方が理想的です。屋外や、屋内であっても空間が広すぎたり周りに気が散る要素が多いと、お客さんが集中しにくくなり、ショーが難しくなります。
もちろん大道芸人や路上ライブをやるミュージシャンの中にも素晴らしいパフォーマーはたくさんいらっしゃいますが、昨今の異常気象で暑すぎたり寒すぎたりといった環境も考えると、お客さんにとってもパフォーマーにとってもなかなか理想的な環境とは言い難いと思います。
マジックと密集
学校や集会などでも席を離すなどして密集を避けましょう、と言われますが、例えば劇場やホールを使う場合、100人入る劇場に100人入っている場合と、200人入る劇場に席を空けて100人だけ入れた場合を考えると、どちらも集客人数は100人ですが、同じではありません。
マジックでもお笑いでも音楽でも、舞台に対してのお客さんの反応は大切です。例えばお笑いのライブに行くと、基本的にはテレビなどで見るよりも面白く感じます。それは一人のお客さんが笑うと、なんとなくそれが周りに伝染して、より笑いが増えるからです。席を離してしまうと、基本的にはそのようなお客さん同士の感情の伝染が起こりにくくなり、盛り上がりに欠ける可能性があります。
マジックと密接
マジックで密接といえばクロースアップです。close upはもともと「近接」などの意味があります。
マジシャンによってクロースアップが得意、ステージが得意、といった個性はありますが、基本的にはクロースアップの方が盛り上げるのは簡単です。それはやはり、お客さんとの距離が近いからで、お客さんが直接関与する割合が多くて、不思議さや面白さを伝えやすいからです。もちろん道具を触ってもらったりすることも容易ですので、その分不思議さが増しますし、興味を維持しやすくなります。
逆に遠く離れたお客さんに、視覚と聴覚の情報だけで興味をもってもらえるマジシャンは、それだけ実力があるとも言えます。
というわけで3密を避けるというのは芸能にとって非常に酷なのですが、今は贅沢を言っていられません。しかし、コロナウイルス終息後も、一般的なウイルス予防が定着すると、マジックや芸能の在り方まで変わることが予想されます。私も今後考察を深めていきたいと思います。