エース・ボナンザ(動画あり)

エース・ボナンザと呼ばれるマジックがあります。名前は知らなくても、見たら思い出すという方もいらっしゃるかもしれません。

私の教室でも扱うことがあるので、動画を撮り、ついでに記事も書きました。

今回動画を撮ったのは主に教室で習った方の備忘用です。マジックは一度習っただけだと忘れてしまうという方も多いですが、このように動画で見返すと思いだせるものです。

ただし、備忘用ということで実際の演技とは流れが違います。一番大きいのは、動画ではマジシャンが自分でカードを分けているのに対し、実際には相手に分けてもらいます。

このマジックは大変な名作であると同時に、初心者向けのマジックだというレッテルが貼られてしまっているのが残念です。

しかし、こんな単純なマジックでもマジシャンは様々な技術が求められているのです。いくつかのポイントを挙げてみましょう。

1.手順の暗記

当たり前ですが、やり方を忘れてしまってはマジックはできません。一番まずいのは必死に思い出しながら演じることで、その状態では観客を楽しませることはできません。

2.準備

いつ準備をするのかというのが問題です。マジシャンはいつでも心と道具の準備をしておかなくてはいけないのです。

3.検(あらた)め

動画の最初に、さりげなくカードを広げて見せていることにお気づきでしょうか?ほんのちょっとしたことなので、ついつい忘れたり、省略したりしてしまいがちですが、これがあるかないかでは不思議さが大きく変わります。

つまり、「普通のトランプですよ」ということをさりげなく示す必要があるのです。

4.観客のコントロール

自分以外の人間はいつでも思い通りになるわけではありません。お客様が参加するマジックである以上、不確定要素がある中で、ある程度コントロールしつつ、予想外の事態にも臨機応変に対応しなくてはいけません。

5.魔法の設定

このマジックは一言でいえばエースが出てくるマジックです。しかし、なぜエースが出てくるのでしょう?

動画ではマジックペンで魔法をかけています。もちろんそれを採用してもかまいません。

しかし、例えば「お客様にマジックの才能がある」という設定で、観客自身に魔法をかけてもらってもよいでしょう。

また、エースが出たのは全くの偶然で、今日は特別に運が良かった、という設定も考えられます。その場合は魔法をかける必要はありません。

どんな設定でも構いませんし、唯一の正解はありませんが、一番まずいのは特に設定を考えずに演じてしまうことです。まずは設定を決め、それに即した演技をしましょう。そうすることで自然とあなたの個性や感性がマジックに反映され、あなたに合ったマジックになります。

このように、一見簡単に見えるマジックでも、しっかり演じることはかくも大変なのです。逆にエース・ボナンザのようなマジックをしっかり演じられる人はそれだけですでに初心者ではないと私は思います。

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