今回はカードマジックが流行る理由を思いつくままに挙げてみましたが、たくさんありすぎてこれでも少し削りました。やはりマジシャンにとってトランプは特別な素材です。
初期投資の少なさ
1,000円以下で最上級の道具が手に入る、ということが大きな特徴です。ぜひバイシクルやタリホーを使いましょう。
初心者でも騙せる
マジックを始めたとき、一番最初に見せるのは家族だと思います。でもこちらが驚くほど種がばれるのではないでしょうか?いくらマジックが人を楽しませるためで、騙すためでないとはいえ、いつも種がばれていては面白くありません。
カードマジックはいくつかの技法や原理を組み合わせているものが多く、見えない糸で物を浮かせるといった単純なものに比べるとずっとばれにくくなります。初心者が最も騙し通しやすいのはやはりカードマジックです。
道具の小ささ
現代はどんどん荷物が減り、小型化しています。例えば長財布よりもスマートウォレットが選ばれたり、分厚い本を持ち歩かなくても電子書籍で読めたり、カバンなどもその分小型化しています。
トランプなら小型のカバンにも入るため、現代社会に駆逐されずに済むのではないかと思います。
クロースアップからステージまで対応可能
カードマジックといえばクロースアップのイメージがありますが、プロマジシャンのかなり多くの割合が、ステージでもトランプを活用しています。それもミリオンカードやファンカードといった見せ方ではなく、トランプをトランプとして扱うマジックです。
カードマジックの本を買ったら、「ステージやパーラーでできるマジックはないか」「このマジックをステージやパーラーで見せるにはどう演じたら良いか」といった視点で読んでみると色々な発見があると思います。
今はコロナでステージなどないですが、必ずいつかは収束するでしょうし、そのときに人間は絶対にオンラインだけでなく、物理的に集まりたくなるはずです。ステージやパーラーの復活の日は必ず来ると思います。
乳幼児から高齢者まで対応可能
カードマジックは数字やマークなど複雑だから子供やお年寄りには向かない、という人もいるかもしれませんが、カードマジックを複雑にしてしまっているのはマジシャン自身です。カードマジックは全年齢対応可能で、ババ抜きや七並べなどのカードゲームができない年齢でもマジックで楽しませることはできます。
ただし、よりビジュアルでダイレクトな現象を起こす必要があるため、大人に見せるよりも高度なテクニックは必要です。例としては出現や消失、変化、アニメーション(ライジングカードのように物理的に動く現象)などです。また、私の経験上、お年寄りの中には絵札(K、Q、J)やマークが苦手(ただしハートくらいなら大丈夫)な人もいるので、その点も配慮しましょう。
プロもアマチュアも同じ土俵で戦える
イリュージョンがその最たるものですが、そもそも道具がないのでできないマジックはたくさんあります。イリュージョンでももちろん上手い下手はあるのですが、アマチュアマジシャンからすると、自分と比べることができないため、イリュージョニストがどれくらい優れているのかわかりません。
例えていうなら、オリンピックの100mで10秒切ったと聞けば、自分と比べて圧倒的に速いことがすぐにイメージできますが、スキーのジャンプを見て、すごいとは思いつつもやったことがないので、その難しさや技術の高さがわかりにくいのと一緒です。
また、数年前から将棋の棋士の藤井聡太さんが話題になっていますが、将棋の優れているところは盤と駒さえあれば、だれでも藤井さんとまったく同じ土俵に立てるところです。その点ではカードマジックも、プロアマ関係なく同じ土俵で取り組める点が大きな魅力だと思います。
ひとつの道具で多彩な表現
マジックショップで売っている道具の多くは、「この道具ではこのマジックができます」「その道具では別のマジックができます」というように道具とマジックが一対一対応しているような印象があります。
極論ですが、もし音楽で「バイオリンではこの曲が弾けます」「ハーモニカではこの曲が吹けます」というようにひとつの楽器でひとつの曲しか演奏できなかったら、それぞれの楽器の世界がここまで深く追及されることはなかったと思います。
カードマジックも、トランプひとつで多種多様なマジックを表現できることが、カードマジックの世界を深めた重要な要素だったと思います。
YouTube投稿しました
ようやくシャッフルに入りました。もう少しカード編は続きますが、私自身もカード以外のマジックも好きですので、今後コイン編などもやっていきたいと思います。