さて、独学でマジックを始めるならマジックのジャンルは、クロースアップとパーラー、特にクロースアップがおすすめです。
やはり見せる機会という点において、クロースアップなら身内や友人、知人に手軽に見せられるからです。また、腕前が少し認められてくると、「今度〇〇の会でやってください」などと頼まれることもあり、この場合はパーラーマジックが活躍します。
さてクロースアップを始めるにしてもいろいろありますが、いきなり道具を買うのはお勧めできません。基本的に1つの道具は1つのマジックしかできないため、使いこなせなかったときに無駄になりやすいからです。
クロースアップはカードとコインが双璧です。どちらもその素材だけで、数多くのマジックができる点で優れています。ただ、コインは技術的に難しいものが多く、カードほどの幅広さがありません。やはりカードマジックから入るのが良いでしょう。
カードマジックなら、簡単なものから、非常に難しいものまで幅が広く、初心者からプロまで愛されています。プロマジシャンのクロースアップのレパートリーの半分はカードマジックといってもよく、マジックをする以上、カードは避けて通れません。また、コインよりも大きいため、作品によってはパーラーに対応しやすいのも利点です。
というわけで、カードマジックを始めることになったら、カード(トランプ)とカードマジックの入門書が必要です。入門書の紹介はまたの機会とし、今回はカード選びです。
ようやくカード選び
マジックに使うカードは、基本的に普通の紙製のトランプです。仕掛けのあるカードも売っていますが、まずは普通のトランプ(専門用語ではレギュラーデックといいます)でできるマジックを覚えるのをお勧めします。
なぜなら多くの人は、マジックに使う道具には仕掛けがあると思っていますので、仕掛けのない道具を使うことで、相手の考えの一歩先を行くことができるからです。また、仕掛けのないカードの方がより多くのマジックを演じられるのも事実です。
また、多くの日本人は紙製よりもプラスチック製のトランプの方が優れていると考えていますが、プラスチック製はカード同士が静電気や湿気でくっつきやすく扱いづらいため、マジシャンには紙製が使われています。
やはりバイシクル
さて、いきなり結論から申しまして、迷ったら「U.S.プレイングカード社製のバイシクル ライダーバック ポーカーサイズ 赤」を買うことをお勧めします(笑)。これはプロマジシャンもよく使っていますし、それだけの理由もあります。
こちらはもちろん紙製で、表面の状態や裁断面もよく、申し分のない品質です。唯一印刷のズレがときどきあることが問題ですが、私自身はほとんど気になりません。裏模様も理想的で、白い縁が5ミリ程度あり、天地の区別がない複雑な模様が描かれています。縁のないカードも用途によっては使われるのですが、下の写真のように、白縁のおかげで、カードが4枚であることが一目でわかります。右は縁なしのカードで、枚数などがややわかりづらくなります。
また模様の複雑さも大切で、カード自体のキズや汚れをカモフラージュする効果があります。通常のカードゲームにおいても、例えばスペードのエースの裏に小さなシミができてしまったら、それが目印となってしまい、問題ですよね?マジックにおいても汚れや印刷のカスレが目立たないに越したことはありません。
値段もリーズナブルで、定価691円、ディスカウントされればさらに安くなりますので、大人はもちろん、子供でもお小遣いで買える金額です。カードは半永久的に使えるものではなく、定期的に買い替えなければいけないので、1000円以上のカードをマジック用にするのは、お勧めできません。同じ理由で限定品のカードなども、コレクションとしては良いのですが、メインとするには向いていません。(カードの寿命についても今後書いてまいります。)
ところで、バイシクルカードの中でも、なぜポーカーサイズの赤なのか、長くなってきたので、次回ご説明したいと思います。