このブログでも何度かマジックの衣装について書いてきましたが、今回はプロマジシャンの衣装やコンテスト向けなどのがっつりと本格的な衣装ではなく、ちょっとした発表会やボランティア、友人知人間のショーなどに向けた衣装について、改めて書いておこうと思います。
1.衣装の基本的な考え方
本格的な衣装も、日常の延長のような衣装も、共通していえる考え方があります。
マジックは人に見せるものである以上、それらはすべてプレゼントであり、例えるなら衣装はラッピングのようなものであるということです。
プレゼント本体であるマジックそのものの質が最も大切ではありますが、プレゼントである以上ラッピングも大切です。
人によっては「プレゼントでラッピングなどなくてよい」という人もいるでしょう。マジックでも、例えばマジックマニア数人に見せるのであれば衣装を気にする必要はないかもしれません。
しかし、不特定多数に見せるのであれば、少なくともラッピングをした方が(衣装を選んだ方が)効果的です。いまだに装飾的なラッピング文化が廃れていないということは、マーケティング上も正しいことなのでしょう。
したがって、衣装選びの基本はプレゼントにおけるラッピングと同様、人に喜んでもらえるかどうか、というのが大切です。
ですから、ちょっとしたプレゼントに必ずしも大仰なラッピングが必要でないのと同様、ちょっとしたマジックにあまりに大げさな衣装を着る必要はないともいえるでしょう。
2.手持ちから選ぶなら
今回はゆるい衣装選びなので、まずは手持ちの衣装から選ぶと仮定しましょう。いくつかの服から選ぶときに、基準となるのはフォーマルさです。
もし迷った場合はおもてなしの精神で、多少なりともフォーマルなものを選んだ方が良いと思います。
逆に、できれば避けてほしいのはスポーツウェアやアウトドアウェアです。利便性に特化しすぎてフォーマルとは対極にあるからです。
その人のワードローブにもよりますが、基本的には手持ちの服でも選び方次第で、ある程度整えられるのではないかと思います。
3.一品追加するなら
無理をする必要はありませんが、せっかくの機会だから一品くらい買ってみよう、ということであれば、「テーラードジャケット」「ドレスシャツ」「スラックス」「革靴」のいずれかがおすすめです(クリックでGoogl検索結果が表示できます)。
いずれも高級品は際限なく高いですが、実はそこまで高くないものも多いことに気付きます。上に挙げた4品は必ずしも全部そろえる必要はなく、例えば普段の服にジャケットを羽織るだけとか、ボトムスをスラックスにするだけでも引き締まって見えます。
4.理論を打ち破る
マジックには芸術という側面もあるので、すべて理論通りというわけにはいきません。例えば、さきほど「スポーツウェアはやめましょう」と書きましたが、スポーツそのものをテーマにしたマジックをするなら、逆にスポーツウェアが最も適した衣装になる場合もあるのです。
しかし、マジックがプレゼントであることには変わりありません。「楽だからこの衣装にしよう」という発想は危険信号です。マジックは他の芸術と同様、悩み苦しみぬいた上に成立するのです。