消耗系カードマジックというのは私が適当に作った造語で、トランプを折り曲げたり、破ったりと消耗させてしまうマジックのことです。なぜカードを消耗するマジックを勧めるのか、そして具体的な作品の例も挙げてみます。
消耗するカードマジックを勧める理由1 在庫整理のため
実はそもそもこれを書きたくて、このブログ記事を書いています。
そもそも初心者のとき、たとえば初めてマジック専用にトランプを買ったときなどは、数百円といえどもったいないからできるだけ長く使いたいと思うものです。そしてその感覚はすごく大切だと思います。
もちろんいくら大切な道具だからといって、おっかなびっくりBicycleを扱う必要はないのですが、基本的に演者がマジック道具を大切にし、マジックを大切にし、お客さんを大切にすると、お客さんもマジック道具を価値あるものだと感じ、マジックに敬意をもち、マジシャンにも丁寧になるものです。
ですから、通常のBicycleカードであっても大切に使うのは良いことです。とはいえ、ある程度マジックをやっていると、捨てるほどではないけどちょっと汚れてきたし、使いにくいな、というデックや、数枚欠けてしまったデックなども溜まってくるものです。
しかし、そこでいつまでも捨てずに使わなくなったカードを取っておくと、無駄に収納スペースを圧迫してきます。ここで、カードを消耗するマジックの出番です。カードを折る、破る、といったマジックを練習していると、1組や2組はあっという間に消費できます。
消耗するカードマジックを勧める理由2 特別感を演出
基本的にはトランプを折ったり、破ったり、何か書いたり、というのはちょっともったいない行為なのですが、その分、とっておきのタイミングで披露すれば見る人にちょっと特別な印象を与えられます。
また、テレビやバーなどで見るプロマジシャンは、よりインパクトを強めるために比較的カードを消耗するマジックを多用する傾向があり、それがある程度、世間一般にもイメージとして定着しています。そのため、そのようなマジックを演じると、なんとなくプロっぽいと思われることもあります。
消耗するカードマジックを勧める理由3 演目の幅が広がる
カードマジックの本などを見ていると、カードを消耗するマジックはそれなりに多く見かけます。それらを全て見過ごしてしまわずに、気に入ったものをマスターすればマジックの幅が広がります。
特に、カードマジックを複数演じる場合、同じようなマジックばかりだな、とは思われたくないものです。カードを折る、破るなどのマジックは見た目にはっきり変化が出ますので、単調になるのを防げるのではないかと思います。
消耗するカードマジックの具体例
トーン&リストアード
破ったカードが復活するマジックで、これ自体が一大ジャンルと呼べるほど種類があります。下の本にも複数解説されています。もっとも、破ったカードが本当に復活するならカードは消耗しないのですが…。
カードマジック大事典は新装版が出ました。しかし、これも品薄のようで残念です。
フォールディッド・カード・イン~
サインしたカードが折りたたまれた状態で意外なところから出てくるというマジックです。これはさすがにインパクトが強すぎるので最後に演じる人が多い印象です。上記の本にはもちろん、以下の本でも様々な方法が解説されています。
カード・ワープ
これは2つ折りにしたカードが異次元でねじれたようになってしまうマジックで、これも折り曲げるだけでなく、最後は破ってしまうので、もちろんカードを消費します。以前Mr.マリックさんもTVで演じており、人気のあるマジックです。これも「カードマジック大事典」などに載っています。
リンキング・カード
2枚のカードの真ん中を破り取って輪にし、それらを繋げたり外したりするというリンキング・リングのカード版ですが、考案者のポール・ハリスは、よくこんな突拍子もないマジックを思いついたものだと感動します。これも「大事典」などに載っています。
こんな感じでレパートリーを増やしつつ、無駄な在庫整理にも役立てていただけたらと思います。