基礎練

スポーツや芸術などのありとあらゆるジャンルで、基礎練習は重要視されているように思います。マジックにも基礎練習は必要なのでしょうか?

私はマジックにも基礎練習は必要だと思います。スポーツで言えばストレッチ、筋トレ、素振りなど、音楽も声楽なら発声練習、楽器もぞれぞれ基礎練があるそうです。

しかし、基礎練習は同じことの繰り返しで退屈しやすいのに対し、圧倒的に楽しいのは作品練習であり、練習試合です。

そのせいか、マジックの教室や指導でも、作品練習に偏ってしまいがちです。それは私もそうですし、他の指導者もその傾向はあると思います。

その点、私が以前指導を受けた故・スピリット百瀬さんは基礎練習を大切にしていました。カードでいえば、グリップから始まり、1枚ずつ配る練習、コインは4枚のコインを1枚ずつクラシックパームし、さらに1枚ずつリリースする練習、ロープは1本のロープをひたすら結んでは解くような練習、シルクは振ったり、巻いたり、結んだりと、いずれもそれ自体ではマジックになっていないような、マジック以前の動作練習がありました。

人によっては、「プロになりたいなら基礎練習をしっかりやるのも良いが、アマチュアなら楽しいことだけやれば良いのではないか」という意見もありました。

しかし私としては、たとえアマチュアであっても、目先の楽しさだけで上達できなければ長期的には楽しくなくなってしまうのではないかと思います。

まず、基礎錬をしない弊害として、マジックがすごく難しく感じるようになります。それもそのはずで、「基礎錬はとても簡単なことの繰り返し」であり、「作品練習は難しいことへの挑戦」だからです。

野球でいえば、試合でホームランを打つことはとても難しいですが、素振りやキャッチボールは誰でも簡単にできます。しかし、簡単だからこそ、フォームや自分の身体の状態など、様々なことに意識を向けて練習する余裕があります。

作品練習は簡単なことを飛ばしていきなり難しいことに挑戦するのですから、より難しく感じてしまうのです。難しいことをするために、まずは簡単なことをするのが基礎練習なのだと思います。

意外にも基礎練習は最初のうちこそ退屈に感じますが、やっているうちに楽しくなっていくものです。それはやはり動作に身体が慣れていくにつれ、いろいろなことに意識が向くようになり、上達が実感できるからだと思います。

などと、様々な理屈を述べましたが、一言で言えば、私の教室でも適度に基礎錬を取り入れいていきたいなということです。

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