来月8月18日(水)、19日(木)に「こども霞が関見学デー」が開催され、日本奇術協会も参加します。このイベントは毎年開催されており、奇術協会も毎年ブースを出しています。今年のタイトルは「やってみよう!不思議なマジック体験」ということで、マジックを見て体験するワークショップに、私も出演することになりました。
今年は緊急事態宣言中の開催となり、かなり多くの団体がオンラインで企画を行うことになりました。幸い今のところ奇術協会は霞が関の会場にて実施できる見込みとなっていますが、当初はオンラインで開催する可能性もあり、その場合は映像で配信するのみとなります。
ただ、この場合については私は少し疑問もありました。
というのも現在YouTubeなどでおびただしい数の種明かしが行われています。そこで、いくら省庁のイベントだからと言って、協会がマジックワークショップの映像を流したところで、どこまで需要があるのだろうか、ということです。少なくともマジックのやり方を知ることが目的の人にとってはあまり価値はありません。
また、日本奇術協会は以前からテレビやインターネットでの種明かしに対して、反対の立場をとってきました。にもかかわらず、自分たちがワークショップと称してネット上の動画で種明かしをしてしまったら矛盾してしまうのではないか、という問題もあります。
それらの問題に対する私の答えはこうです。
まず種明かし動画との差別化について。今回は文部科学省として実施するプログラムということで、奇術協会以外のプログラムも含めて教育的な内容となっており、たとえばこの見学デーに参加してレポートなどを書けば、夏休みの自由研究などにも十分使えると思います。ですから奇術協会としても、種だけでなく、マジックの文化的側面も伝えていかなくてはいけません。
次に協会がネットで種明かしをすることについて。協会は先ほど書いた通り、基本的にはテレビやネットでの種明かしに反対していますが、その程度については各会員の間でかなり幅があると思います。つまり、かなり厳しく種明かしを禁止したい会員もいれば、ゆるやかに考えている会員もいます。
ですからあくまでこれは程度問題で、多くのプロマジシャンや、アマチュアマジシャン、マジックが好きな人達が、不快に思わない程度の種明かしをするという方法しかありません。明快な線引きはできません。その上でマジックをいかに楽しんだり、役立てていくかということにフォーカスすることが大切だと思います。
しかし、何はともあれ、今年の見学デーはマジックに関しては今のところ実際に会場でできることになりました。やはり直接体験に勝るものはないので良かったと思いますが、逆に緊急事態宣言中なのに霞が関でイベントを行うのはどうなんだという意見もあることでしょう。
ただ、今回の緊急事態宣言は飲食店や小売店も営業していますし、イベントも人数制限などを行えば開催できることになっています。実際、今年の見学デーも事前予約が必要となっており、人数が制限されています。つまり何でもかんでも完全に禁止する宣言ではないということなのでしょう。
このまま会場で開催される場合でも、参加者の方との距離や、物の受け渡しなど、様々気を付けることはあります。オンライン、オフラインいずれにしても有意義なマジックプログラムとなるよう、準備していきたいと思います。
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今回もコインマジックの実演とコメントをしていますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。