再び、おまじない(マジカル・ジェスチャー)についての考察で、主におまじないの統一性についてです。
前回の記事で、おまじないをかけるのに小道具を使う方法を紹介しましたが、もし演じる予定のマジックがひとつだけなら何も問題ありません。しかし、もし2つまたはそれ以上のマジックを演じるとしたら、おまじないは毎回違うものが良いのか、それとも同じもので良いのでしょうか?
基本的にはおまじないは統一する
たとえば最初のマジックで魔法の粉を使ったなら、次も使うのが自然です。特に理由もないのに、ウォンドや粉、はたまたジェスチャーのみのおまじないを混ぜて使うと全体としての印象が散漫になってしまいます。
以前から特によく指摘されているのは、カップ&ボールです。カップ&ボールを演じるときだけマジック・ウォンドを使うのはおかしいという意見は根強くあります。現在は私自身もカップ&ボールにウォンドは使わなくなっていますが、個人的にはセリフや演出次第でウォンドを使う不自然さは軽減できるとも考えています。
一例としては「カップ&ボールは世界最古のマジックと言われており、昔のマジシャン達はこのような魔法の棒や、金属のカップを使ってマジックをしていました。」というセリフです。すなわち、昔のマジックの道具を紹介するというような演出であり、また、セリフ自体も事実に反しているわけではないので使いやすいと思います。
このように、マジックによっては、セリフや演出によって異なるおまじないを使うこともできますが、基本的には統一した方が見やすくなります。また、繰り返し同じ魔法をかけることが一種のランニングギャグ(繰り返しによる笑い)としてユーモラスな効果を生むのもメリットです。
また、当たり前ですが、おまじないのかけ忘れには注意しましょう。あるいはわざとおまじないをかけ忘れて現象が起きないというギャグもありますが、それは狙ってやらないと成功しません。練習で、どのタイミングでおまじないをかける(またはかけない)のかを把握して、十分に覚えておきましょう。
毎回おまじないをかけるとは限らない
例外として、そもそもおまじないをかけない場合もあります。
メンタル系のマジックがその例で、「うそ発見器」演出(相手に質問して嘘を見破りカードを当てる)などはそもそもおまじないの出る幕がありません。
ギャンブルデモンストレーション(ポーカー等の手札を配り、その役を自在にコントロールしてみせる演出)も同様です。これはカードのイカサマを披露するという演出ですから、やはり魔法やおまじないは不適当です。
おまじない(マジカル・ジェスチャー)について考え始めると、自然と自分のマジックの特徴をもう一度よく見直すことになり、さらに自分に向いているマジックについても考えるきっかけになります。ぜひ、自分にフィットする演出、マジックを模索していってください。