マジックを始めて、少しずつ演目が増えていくと、今度は少しまとまった時間でマジックを見せるにはどうしたら良いだろうかと考えるようになります。しかし、初心者がいきなり、作品が有機的につながった起承転結のある30分のショーをつくろうとしても無理がありますし、今回はそこまでベテランでない方が10分のショーを構成する方法を考えてみたいと思います。
1.まずは演じる環境を確認する
マジックの場合はどうしても演じる環境によって左右される要素が強いので、まずは演じる予定の場所、人数、音響などを確認します。もちろん客層、年齢層も大切ですし、客席の物理的な距離、角度なども大切です。
2.環境に合ったマジックを列挙する
自分ができるマジックの中で、演じる環境に合ったマジックを紙などに書いて、できるだけたくさん挙げていきます。このようにすると、自分のレパートリーに偏りがあったり、もっとこういうマジックができるようになりたい、などということに気付くこともありますので、それは今後の課題とします。
3.それぞれのマジックの所要時間を把握する
それぞれのマジックを本番同様に演じてみて、時間を測ってみます。このとき、映像に撮ってみれば時間と同時に演技もチェックできます。どちらにしてもスマートフォンなどで簡単にできるのが現代のテクノロジーの凄いところです。
それぞれ演目の横に所要時間を書いていきます。もし、この時間を全部足して10分に満たなかった場合はそもそもレパートリーが足りなかったということです。
4.バランスを見ながら、演目を選出する
所要時間の合計が10分またはそれ以上であれば、そこから採用するマジックを選出していきます。ここがセンスの問われるところですが、実は意外と選択の余地は少なかったりします。
基本的にはまず最初に演じるマジックと最後に演じるマジックを決めます。一般的にオープニングのマジックは時間的に短く、お客さんが関わらずにマジシャンだけで完結するものがよいと言われていますが、限られたレパートリーであれば、ほとんど消去法的に決まってしまうと思います。
エンディングのマジックは千差万別で、派手なマジック、派手でなくとも不思議さの強いマジック、時間的に長いマジック、など色々ですが、これも余程レパートリーが多くない限り、ある程度自動的に決まってしまうと思います。
最初と最後が決まったら、残りを埋めていきますが、このときに、見た目や構造が似ているマジックは少なくともどちらかは削ってしまいます。私がすぐに思いつく例だと、「四つ玉」と「シンブル」(現象や構成が似ている)、「リンキング・リング」と「リンキング・ロープ」(現象がほぼ同じ)、「カメレオンシルクのサカートリック」と「シルクと卵のサカートリック」(どちらも似たような偽の種明かしがある)などです。
他にも一緒に演じるには相性の悪い作品は、考えて削っていかなくてはいけません。そうなると10分で演じるマジックはだいたい3~5つくらいですから、オープニングとエンディングを除けば、1~3の作品を選出するだけです。
いかがでしょうか?ルーティーンといっても必ずしも全ての作品がつながっている必要はなく、演目の選び方と演じる順番が適切なら、十分立派なショーだと思います。皆さんの何かの参考になれば幸いです。