黒からの脱却!?

マジシャンは黒い衣装を着ているイメージがありますし、実際黒い衣装のマジシャンは多いと思いますが、黒にもメリット、デメリットがあるのでそれをまとめてみたいと思います。

黒は無の色

黒幕という言葉があるように、舞台の奥に黒い幕が垂れていることがあります。これは「黒い壁を表現したい」とか、「夜を表現したい」とかではなく、しいていえば「何も表現したくない」のです。その点、白でも良いのですが、ともかくニュートラルなゼロの色として黒が使われています。

また、黒子というように、スタッフの衣装としても黒は便利で「目立たせたくない」「重要ではない」というようなメッセージを込めて黒が使われることがあります。その点、メインの出演者たるマジシャンが黒服というのは少し矛盾する気がします。

黒は死の色

喪服で黒が使われるように、黒は死の色でもあります。そのため、霊的な演出をするメンタルマジシャンに黒色の衣装が好まれる傾向があります。安易といえば安易ですが、それでもやはり黒には神秘的に見せるパワーがあります。

ブラック・アート

主にステージマジックで使われる原理ですが、品物の片面を真っ黒に塗っておき、黒い背景のところでひっくり返すと消えたように見えます。これがブラック・アートで、同じことを黒以外の色でやってもあまり上手くいきません。ツヤのない黒色が最も上手くいきます。

このブラックアートを利用するために黒い衣装を着るマジシャンもいます。たしかにブラック・アートは偉大な原理ではありますが、やや安直であり、照明の加減次第では普通に見えてしまうことも多く、やや不安のあるマジックです。もしブラックアートを利用しないなら、衣装の選択肢も広がります。

黒以外なら

このように、黒い衣装にはメリット、デメリットがあることがわかると思います。特にメンタルマジックとブラックアートの例は数あるマジックの中でもかなり特殊な場合です。なぜなら通常、マジックは人を楽しませ、周りを明るくするために行われるものであり、あまり深遠というか辛気臭い演出をする場面は限られますし、ブラックアートに関しても、かなり照明の調整がシビアで、いつでもどこでもできるマジックではありません。そのため、実はマジシャンの衣装の色は比較的自由になります。

ただし、黒以外の色といって、いきなり赤や黄色というのも極端です。この世には様々な色がありますから、グレー、ベージュ、紺、臙脂、茶、ロイヤルブルー、モスグリーン、ペールピンク等、自分のイメージに合うセンスの良い色を見つけられるはずです。より自由で、個性豊かなマジシャンが活躍できるとよいと思います。

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