ブリッジサイズ(トランプ)のすすめ

今回はトランプのサイズでポーカーサイズと同様にポピュラーなブリッジサイズの話です。

ジャンボサイズやミニサイズではない、いわゆる普通のサイズのトランプの場合、ポーカーサイズとブリッジサイズが一般的です。メーカーによって多少の誤差はありますが、だいたいポーカーサイズは63mm×89mm、ブリッジサイズは57mm×89mmとなっており、縦の長さはほとんど変わりませんが、幅が約6mm狭いのがブリッジサイズで、ナローサイズともいいます。

伝統的にはアメリカではポーカーサイズが主流、日本ではブリッジサイズが主流でした。理由としては、アメリカ人は手が大きいことに加え、アメリカではポーカーやブラックジャックのような手札の枚数が少ないゲームが主流だからポーカーサイズが定着し、日本人は手が小さく、なおかつババ抜きや七並べのような手札の多いゲームが主流だから、もともと手札が多いゲームに適したブリッジサイズ(ブリッジというゲームも手札が多い)が定着したのではないかと私は推測します。

さて、たった6mmの幅の違いで何か変わるかというと、やはり、1組を手に持った感じが既に全然違います。特に手が小さい人にとってはブリッジサイズの方がだいぶ余裕ができると思います。

マジックで色々な技法を行うときにも、多少余裕があった方がより種が見えないようにできます。しかしポーカーサイズの方が大きくて視認性が良いのではないかという意見もあります。実際、トランプに限らず、コインでもボールでも、ありとあらゆるマジック道具において、見栄えのする大き目を選ぶか、より種が見えない小さめを選ぶか、という問題があります。

あらゆる道具について、過去多くのマジシャン達が言ってきたのは「自分が扱える範囲で一番大きいものを選ぶ」というものです。私もその通りだと思うのですが、ここで勘違いしてはいけないのは、「多少種が見えても大きくて派手な方が良い」という意味ではないということです。種が見えないのは大前提で、その中で一番大きいものを選ぶ、ということです。

マジシャンはつい自分のマジックを少しでも派手にしようと道具を大きくしてしまいますが、大切なのは種が見えないことです。実際、「種が見えないようにマジックをする」というごく当たり目のことを守るだけでも、すごくウケるようになると思います。

また、視認性についても、個人的にはそれほど気にしなくてよいと思っています。ポーカーサイズとブリッジサイズの場合、お客様との距離が十分に近ければどちらでも見えますし、離れすぎていればどちらもよく見えません。ポーカーサイズなら見えるがブリッジサイズでは見えない、というケースの方がよっぽどレアの気がします。

また、イギリスのポール・ダニエル氏やオランダのトミー・ワンダー氏はブリッジサイズを使うことが多く、私の知る限り結構大人数の前でもブリッジサイズで十分に楽しませていたと思います。他にもブリッジサイズを愛用するマジシャンは多くいらっしゃいますので、「ブリッジサイズを使っているから下手だ」とか「駄目だ」「素人だ」などとはならないはずです。

逆に、著書の中でブリッジではなくポーカーを強く勧めていたマジシャンとして代表的なのはラリー・ジェニングズ氏とロベルト・ジョビー氏です。しかし、お二人とも大柄で、手も大きいことを忘れてはいけません。

ぜひ、今までポーカーサイズを使ってきて「ちょっと大きいな」という気がしていた方はブリッジサイズを使うことで余裕をもって、より緻密なマジックを演じていただければと思います。

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