コンビンシングコントロールは使いどころを考えよう

表題はコンビンシングですが、カード・コントロール全般についてです。今回の記事はある程度カードマジックをやっていないと意味不明の記事ですのでご了承ください。また、知らない言葉が出てきたら本文中で紹介した書籍などを読んで確認するとよりレベルアップできると思います。

私は常々、単純なカード当てでも奥が深く、難しいものだと考えています。特に安易にコントロールして当てるのは要注意です。一般のお客様でも何となく雰囲気で感じ取り、察しているものです。

ただ単に当てるだけならキーカードを使うのも選択肢のひとつです。キーカードも巧妙に使えばマジシャンさえ騙されてしまうものですし、ブレイクやコントロールの気配がないのも素晴らしい点です。ぜひ丁寧に研究してみてほしいと思います。

どうしてもコントロールが必要な場合、ブレイクだけに頼らないのも大切です。ブレイクは一般のお客様にとっても最も思いつきやすい種ですし、視覚的にも目立ちます。角度に気を付けたり、ブレイク自体を小さくしたりするとともに、ジョグやステップと併用するのが大切です。

また石田天海氏が愛用したとされる左親指母指球を使ったブレイクも大変理にかなっていますので、練習・研究の価値があります。これらのテクニックについてはカードマジック大事典にも載っています。

さて、実際にコントロールするにあたり、私が特に要注意だと考えているのは各種パスとコンビンシングコントロールです。これらの技法はよほど注意深く練習しないと習得できませんし、さらに危険なのは、独学だとできた気になってしまう点です。そもそもパスはどんなに上手くなったとしてもミスディレクションが必要ですから、作品ごとにタイミングを予め組み込んでおかなくてはいけません。

コンビンシングコントロールはパスほど難しくはありませんが、やはり特殊なコントロールです。日本のマジシャンの間でこれほどコンビンシングが普及したのは、日本の著名なマジシャンである前田知洋さんが得意としているからだという説もあります。

前田さんは別格として、普通はなんでもかんでもコンビンシングを使うのはあまりおすすめできません。適材適所というものがあると思います。特にパスやコンビンシングの後にフォールスシャッフルやフォールスカットをしているのを見ると、「それなら最初からシャッフルコントロールやカットコントロールを使えば良いのに」と思ってしまいます。

そのような理由で、私はもっとシャッフルコントロールとカットコントロールが見直されるべきだと考えています。特にシャッフルコントロールではオーバーハンドシャッフルコントロールやヒンズーシャッフルコントロール、カットコントロールではダブルカットやトリプルカットなどです。

これらのコントロールもやはりスムーズに行うためには相当な練習が必要ですが、上手く行えば気配がほとんどなくなります。ちなみにコントロールに用いるシャッフルやカットはフラリッシュ的な派手なものではなく、できるだけ通常の扱いに見えるものがよいと思います。個人的にはフラリッシュも嫌いではないのですが、マジック部分とは切り離して、例えばマジックの合間や前芸として見せるくらいがちょうど良いのではないかと思っています。

とにかく、カードマジックを演じる方には、「適当にトップコントロールすればいいや」というのではなく、作品ごとにどの方法で行うのが一番良いか、また、できるだけ種が発覚しずらいようにするにはどうしたら良いか考えてコントロールしてほしいと思います。

どんなマジックにも言えることですが、高等テクニックを使って種が見える人よりも、初級~中級のテクニックをしっかりできる人がより賞賛されます。まずはさっそくシャッフルとカットから練習しましょう!

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