チェーホフのマジック! 前編

ロシアの文豪、チェーホフが著した戯曲「桜の園」。そこに登場するマジックを考察します。あくまで原作に登場するマジックの考察ですが、今後プロアマ問わず、劇団などで桜の園を上演する場合の参考にしていただいてもかまいません。上演されなかったとはいえ、日本最高峰の「桜の園」に関わった私の考察です(笑)。

(以下、「桜の園」原作のネタバレを含みます)

皆さんはすでに桜の園はお読みになったことがあるでしょうか?外出自粛期間中で読書でもしようという方も多いと思いますが、上の電子版だと無料で、書店に行く必要すらありません。

さて、読んでみた方は、いかがだったでしょうか?正直、結構きつかったと思います。私が思う読みにくさの理由は、

①登場人物の名前の難しさ

②戯曲であること

③戯曲にしては長いこと

の3つです。

まず、ロシアの人名が日本人にとって馴染みがないため覚えられません(笑)。主人公からしてラネーフスカヤ、シャルロッタはまだ良いですが、ヤーシャ、ドゥニャーシャにアーニャ、ワーリャ、おまけにトロフィーモフの愛称がペーチャ、他にもロパーヒン、ピーシチク、エピホードフ、ガーエフ、フィールスと、とにかく名前が難しいです。また、職業も召使い的な肩書きの人が多く、これまた覚えにくいです。演劇と違って文章だけだと顔が見えてこず、イメージが湧きにくいのもあるかもしれません。

次に読みにくさの一つとして、小説と違って戯曲(台本)なので、いわゆる地の文、つまり状況などを説明する文がほとんどなく、ほとんどが登場人物たちのセリフで構成されていることもあります。しかし、これだけの長ゼリフを覚えるだけでも大変なのに、感情を込めつつ自然な会話として成立するように演技する役者さんには頭が下がります。

そして最後は意外と長いことです。台本だから1~2時間で読み終わるだろうと思っていたら私は3~4時間くらいかかりました。桜の園は戯曲としては比較的長く、全4幕からなり、1幕につき1時間弱かかる計算になります。これをそのまま上演すると、間違いなく途中でトイレに行きたくなりますので、普通は公演の合間に休憩をはさむことになると思います。

というわけで中々難解そうな桜の園ですが、ストーリーが複雑でわからなくなる、ということはあまりないかと思います。というのも、ストーリーとしては、没落貴族が借金を抱え、屋敷も領地(桜の園)も売ることになってしまった、という至ってシンプルなものだからです。しかも最終的に桜の園は売られてしまいます。つまり、観客の予想もつかない展開や、派手なアクションなどはなく、あくまで、家も土地も失ってしまう貴族とその周囲の人々の人間模様を描くことに集中した劇なのです。

さて、それではどうしてこの作品にマジックが登場するのか、そしてそのマジックの具体的な考察は次回とします。

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