プロ・アマともにクロースアップマジシャンの主力は今も昔もカードですが、昨今注目されているダイソーのCIRCUS(サーカス?)というトランプを改めてレビューします。
以前私は頂きもののCIRCUSデックを触ってみたのですが、そのときはカットが斜めでカード全体がストリッパーデック状態になっていました。それはそれで面白いのですが、もしそれに気付かずに使っていたら恐ろしいことで、どんどん下手になります。
しかし、最近のロットではそれが改善され、きちんと平行、直角に切られています。また、耐久性も問題ないと思います。値段も110円なのでバイシクルなどよりも圧倒的に安くなっています。ではCIRCUSデックで問題ないかというと、個人的にはいくつか気になった点があるので挙げてみます。
①インデックスが小さい
トランプは広げたときに見やすいよう、左上と右下に数字とマーク(スート)が書いてあり、これをインデックスといいますが、これがバイシクルなど他の有力なカードに比べて小さく感じます。致命的な欠点ではありませんが、ゲーム用にしてもマジック用にしてもインデックスはもう少し大きめの方が見やすくて良いのではないかと思います。
②色がくすんでいる
これもわずかな違いではありますが、CIRCUSデックは全体的に色がくすんだ印象があります。バイシクルの方が白い部分はより白く、赤はより鮮やかな赤で、絵札もくっきりとしています。
③紙質が固い
バイシクル系よりも紙質がだいぶ固く感じます。耐久性はあるかもしれませんが、リフルやドリブル、スプリング、バックルなど、カードを多少なりとも反らす技法をやるには余分な力が必要になってしまいます。手が疲れたり指が痛くなったりする可能性が増えると思いますし、上級者ほど余計な力が抜けているため、もう少し柔らかいカードを好むと思います。
④摩擦が強い
これが最も大きな問題で、そもそもバイシクル系の最大の特徴は表面仕上げです。CIRCUSデックは通常のプラスチックや紙のトランプよりは表面の状態は良いですが、それでもバイシクル等よりだいぶ摩擦が強いです。
ゲームに使うだけなら問題ないのですが、マジックに使うことを考えると、フォールスシャッフルやフォールスカウント、フォールスディールなどの技法はやり辛いですし、逆にCIRCUSデックに慣れようとすると下手になる可能性があります。古いバイシクルで練習していると下手になると言われているのとまったく同じです。
特に注意していただきたいのは、既にかなり上手な方ならCIRCUSデックでも多少やり辛いながらも多くの技をこなせてしまうところです。しかし、だからといって初心者や中級者が最初からCIRCUSデックで練習するのはおすすめできません。
まとめ
CIRCUSデックは安くてオール紙製(ケースも紙製)なのが素晴らしく、見た目、耐久性なども十分なクオリティのため、単純にゲームで遊ぶのに使うならおすすめのトランプなのですが、マジックに要求されるレベルはクリアできていません。
もしマジックに使うとしても、ごく簡単なセルフワーキングや、カードの品質は問われないが激しく消耗するマジックに使うなどするのが良いと思います。今後も品質がアップデートされるかもしれませんが、現在のところはマジシャンの主力トランプにはならないかなと思っています。