スライハンドの手順構成ー四つ玉編

ミリオンカードや四つ玉は今も昔も人気のマジックですが、見ていて何故か途中で飽きてだれてしまうこともあれば、最後まで飽きずに見やすい手順もあります。これはやはり構成の違いが大きいと思いますので、今回は四つ玉を例に取り、飽きさせない構成を考察します。スライハンドを演じる方は是非ご一読いただき、ご自身の手順と照らし合わせていただければと思います。

基本テクニックが第一

いくら構成が大事といってもまずは基本的な現象をきちんと起こすことがスライハンドの第一歩です。スライハンドの基本的な現象とは出現、消失、移動、変化などです。これらの現象を種が見えずに、ある程度角度に強く演じられることが何より大切です。

当たり前だと思われるかもしれませんが、どうしても種が見えるハンドリング、極端に角度に弱いハンドリングは自分に合っていなかったんだとあきらめることも必要です。

一般のお客様はショーの開始前こそ「種を見破りたい」と考えているものですが、スライハンドが始まって何度も何度も種が見えると、逆にものすごく苦痛に感じます。「頼むからもう種を見せないでくれ」という心の声に気づかなくてはいけません。

テクニックを単にこなすことと、種を見せずに演じることでは難易度が何倍も違います。練習でどうしても種が見えるのなら、種が見えないところまで手順をスケールダウンさせてください。それが現状把握です。

四つ玉でいえば、フレンチドロップひとつとっても、あらゆる角度からフラッシュせずに演じることは簡単ではありません。でもそれに気づいて練習を重ね、完璧なフレンチドロップができるようになったとき、飛躍的に上達し、ウケるようになると思います。

ひとつひとつのパートの精度が上がったら構成も意識します。

手順の類型化

見ていて飽きる理由は、手順が迷子になっているからです。つまりどこがゴールなのか、どんな道程を通るのか、今現在が全体のどの地点なのか、そもそもちゃんとゴールに向かっているのか、それすらわからない手順は飽きます。

四つ玉は基本的に個数の変化です。それを図形的に表すことで類型化してみようと思います。

①スラッシュ(/)型

ボールが0個または1個から始まり、2つ3つと増えて4つになってフィニッシュ、右肩上がりに一直線の手順構成です。このうえなくシンプルな構成で、誰が演じても絶対に飽きることはありません。なぜならスタートからゴールまで最短距離で一直線、迷子になりようがないからです。

1→2→3→4だけでなく、多少の増減を繰り返しながら1→0→1→2→3→2→4のようなアレンジも、やりすぎなければ迷子になりませんのでOKです。

スラッシュ型はポジティブで勢いのある構成です。若々しい演技や、明るい演技、ハッピーエンドを目指す方に特に相性が良いと思います。

②山(↗↘)型

ボールの個数が1→2→3→4→3→2→1のように、一度増えた後にまた減っていき、最終的には0または1個で終わるような手順です。これも途中で多少の増減や移動減少などがあっても良いと思います。また、最後はシルクに変えて終わっても良いでしょう。

山型もわかりやすい道筋で美しい構成です。スラッシュ型が若々しく右肩上がりの構成なのに対し、山型はもう一度収束していきます。一度登頂した山を下山するように、誕生した生命がやがて年老いて死んでいくように、無常観のある構成です。バッドエンドではありませんが、単なるハッピーエンドとも違う、どこか深遠なテーマを感じさせるのが山型です。

パワフルというよりは美しい演技、落ち着いた演技に向いています。また、山型の演技で一番盛り上がるのは途中の4つのときなので、その後の減少パートを不思議で美しく見せられる高い技術が必要です。

③N(↗↘↗)型

山型のように1→2→3→4→3→2→1と増減した後に、最後は8つにして終わる構成です。山型の収束するような終わり方も素敵ですが、少し寂しい感じもします。そこで最後に8つにすることでビッグフィニッシュ、ハッピーエンドとなります。

生命の誕生から死までを描いた山型に対し、N型は子孫繁栄を連想させます。注意点としては、4個のシーンを途中で既に見せているため、最後も4個では終われません。8個にすることでエンディングの印となっています。

④迷子型

ここまでくれば何が良い手順で何が悪い手順かお分かりだと思います。

迷子型の例は、空中から1つのボールが出てきて、それが4つになる。それが減っていって1つになって、また4つになる。そのうち3つを捨てて残り1つのボールの色が何度も変わる。そしてまた4つになる。さらに8つになる。一度全部捨ててハンカチを出すとそこから1つ出てくる。ハンカチがボールになる。4つになったら花が出てくる。また全部捨てて、今度はポケットからボールを出してくる・・・。

道筋がよくわからず、お客様は飽きてしまいます。花やシルクを使うことが悪いわけではありませんが、マジシャンが最終的にどうしたいのかわからないので見づらいのです。

まとめ

上記①~③以外の手順はすべてダメな手順だ、とまでは言いませんが、このような考え方を知っているかどうかが重要です。その上で、だんだん盛り上がっていくような構成、余韻を残したエンド、最高潮のエンドなどを考えると、より良い手順になると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です