マジシャンは何故シルクハットと燕尾服のイメージがあるのか?~未来のマジシャンの衣装を考える

前回の記事で、マジックウォンドはマジシャンが着る燕尾服やタキシードなどの正装に合わせたデザインになっているのではないかという考えを書きました。そして今回はなぜマジシャンにシルクハットや燕尾服のイメージがあるのか考えるとともに、未来のマジシャンの衣装について考えます。

現代のマジシャンの服装は必ずしも燕尾服やタキシードにこだわらなくなってきています。シルクハットもあまりかぶっていません。しかし今でも根強くシルクハットに燕尾服のイメージは残っています。

そもそも大昔のマジシャンは魔法使いや魔術師のようなぶかぶかの服を着ていて、燕尾服というスマートな衣装を着始めたのは近代奇術の父と呼ばれるフランスのロベール・ウーダンだと言われています。少なくともロベール・ウーダンの時代のマジシャンが現代まで続くマジシャンのイメージを決定づけたのは間違いないと思います。

私の主観ですが、ウーダンはマジシャンを怪しげなイメージから、スマートでイケてるイメージに塗り替えたかったのだと思います。だからこそ、ウーダンは当時の一流の人たちが着ている最もイケてる服を衣装にしたのではないでしょうか?

これも私の想像ですが、当時、ウーダンは周囲の人に「あまりマジシャンっぽくない衣装だね。まるでどこかの貴族や名士みたいだ」とか言われたのではないでしょうか?今ではこれ以上ないくらいマジシャンっぽい衣装を着ているにもかかわらず、です。

だからこれから活躍するマジシャンは、既存のマジシャンのイメージにとらわれる必要はないと思います。もしロベール・ウーダンに敬意を表するなら、むしろ燕尾服を着るのは間違いです。真にウーダンをリスペクトするのであれば、ウーダンと同様、今もっともイケてるファッションをすることです。

未来のマジシャンはどんな服装にするべきか、具体的な結論はあえて書かずに皆さんに考えていただこうと思います。なぜなら、答えはすでに皆さんの中にあるからです。イケてるファッションというのは今、日本や世界で最もイケてる人が着ている服ではないでしょうか?

あなたにとって一流の人、イケてる人、格好良い人はどんな人でしょうか?その人たちの服装を真似するか、参考にすることで、未来のマジシャンの衣装が見えてきます。唯一私からアドバイスするとしたら、マジシャンは今も昔もお客様をもてなす存在であることは変わりませんので、ラフすぎる格好は相応しくありません。

しかし、マジシャンっぽいかどうか、ということにはあまり捉われず、未来のマジシャンは「自分が新しいマジシャンのイメージを創り上げるんだ」という気概をもって挑戦してほしいと思います。かのロベール・ウーダンと同じように。

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