今回は時々質問される芸名のダークの由来を書いておこうと思います。
ダークはマギー一門と同じ、一門の屋号です。「マギー○○」というマジシャンがたくさんいらっしゃるのと同様、実は「ダーク○○」というマジシャンもたくさんいます。
ここで「マギー」はなんとなくmagicに似ているのでそこまで疑問は生まれないのですが、ダークは謎です。ダーク一門はブラックジョークやビザーマジック(怪奇マジック)をやるわけではなく、どちらかというと明るい芸風のマジシャンが多いので尚更わかりません。
ダークの由来は初代ダーク大和に遡ります。
昭和前期、安来節(やすきぶし)の一座が日本全国で公演を行っていました。安来節はドジョウすくいの踊りを含む日本古来からの舞踊の一種ですが、当時の安来節の一座は踊りだけでなく、漫才やコント、マジックなどを織り交ぜたバラエティショーを行っていました。
そんな一座のひとつが大和家(やまとや)でした。大和家でドジョウすくいやコント、漫才、マジックなどを雑多に演じていたのが卓三(たくぞう)でした。卓三さんは「タク」と呼ばれ、人気のパフォーマーでした。
あるとき、卓三さんはマジシャンとして独立する決意をしますが、マジシャンならハイカラな芸名が必要だろうと周囲に言われ、「大和家のタク」から「ダーク大和」として活動を始めました。これがダークの由来です。
ダーク大和の弟子がダーク広和、そのまた弟子が私ダーク和秋です。私自身もダークを名乗ってマジックをする上で、今までメリットとデメリットがありました。
まず、メリットはまず第一に、同業者や古くからの演芸ファンの方にダーク一門のマジシャンだ、とわかってもらえることです。次に、特異な芸名のために、見てみたい、会ってみたいと思っていただけるところです。
逆にデメリットは、演芸ファン以外にはダーク一門が知られておらず、なぜダークなのかという疑問を持たれてしまうことです。しかも私を含むダーク一門のまずいところは、ショーを最初から最後まで見てもダークの謎は解けないところです。
私は解決策は3つあると思っています。①「ダーク一門」が有名なること、②ショーの中でダークの本当の由来を話すこと、③ショーの中でダークの由来を話すのではなく、実際にダークなマジックを演じることで納得していただくこと、です。実はこの中で3つ目が一番手っ取り早く、面白いのではないかとひそかに思っています。