インプットとは入力、アウトプットとは出力のことですが、様々な分野で幅広く使われている言葉ですね。
マジックにおけるインプットとアウトプット
当記事の中では、マジックにおけるインプットとは、本を読んだり、DVDを見たり、道具を買ったり、はたまた教室に通ったりして、マジックを覚え、練習すること、アウトプットとはショーやプライベートでマジックを人に見せたり、何らかの形で外部に向けて発信することなどを意味することにします。
インプットとアウトプットのバランス
インプットとアウトプットはバランスが大切で、基本的にインプットが多め、アウトプットが少なめが健全な状態だと思います。具体的には100:1くらいのイメージです。
例えば、誰かが小説を書きたいと思っているとしましょう。しかし、普段本を読まない人がいきなり小説など書けるわけがありません。まずは様々なタイプの小説を100冊読んでみてはいかがでしょうか?
すると、なんとなく自分の好きな小説がわかり、自分が書きたい小説の方向性も決まってくるでしょう。また、知らず知らずのうちに語彙が増え、より魅力的な文章が書けるようになってもいるでしょう。また、行動派の方の中には、今すぐ書き始めたいという方もいて、それはそれで素晴らしいのですが、書くことと並行してでもたくさん読書をすることは必要になってくると思います。
また、売れっ子の作家になって、次から次へ原稿を書かなくてはいけなくなると、インプットが減ってアウトプットばかりになり、アイディアが枯渇し、行き詰まってしまうように思えませんか?これはある意味最も苦しい状態なのではないかと思います。
逆に、インプットばかりでアウトプットがないのは、非生産的ではありますが、危険性もありません。なぜなら世の中には読書が大好きでたくさんの小説を読むけれど、自分で書いたことは一度もないという人が大勢いるからです。
(ちなみに私自身は小説など1編も書いたことがありませんので、門外漢なのですが、大きく間違ってはいないと思います。)
マジックも同じで、十分な学習と練習なしで実演することほど苦しいものはありません。もし自分のマジックライフにおいて、アウトプットが増えすぎたな、と思ったら、それに見合うようインプットを増やし、場合によってはアウトプットの量をセーブする必要があるかもしれません。
ところで、プロマジシャンで、毎日現場で同じマジックをするような場合は、本番自体が、次の本番のための練習になっているため、アウトプットが多くても大丈夫な場合もあります。しかし、アマチュアの場合は、同じ人達にマジックを見せる機会が多く、演目を変える必要に迫られることがあります。新しい演目をひとつ導入するだけでも、大量のインプットが必要になり、アウトプットとのバランスを崩しやすいのです。
ちなみにプロマジシャンも自分自身のマンネリ化を防ぐためにも、やはり一定以上のインプットは必要です。また、既にレパートリーとなっている演目も、実演ばかりで練習しないと、いつの間にか粗くなっていき、質が下がってしまいますから、定期的に修正が必要になってきます。
私が残念に思うことは、インプットとアウトプットのバランスを崩したせいで、本当は好きだったマジックが嫌になり、やめてしまうことです。ぜひ、自分が続けられるバランスを探し、マジックとの一番良い関わり方を模索していってほしいなと思います。
いつの間にか今年最後の更新となりました。よいお年を!