ロープマジックで最も有名なのは、ロープを切って元に戻すマジックです。様々なやり方がありますが、まずははさみがなければ始まりません。ロープ切りに適したはさみの条件をいくつかご紹介します。
1.よく切れる
ロープを切ろうとして手間取っていては先が思いやられますので、まずはよく切れることが大切です。しかし、どちらかというと切れ味の悪いはさみは、何か固いものなどを切ってしまったことが原因の場合が多く、普通に売っているもので最初から切れにくいはさみは稀です。むしろ買った後にロープ以外のものを切らないようにすることが大切です。
紙は薄いものでも意外と繊維が固いため、切らないほうが良いと言われています。手芸が好きな方で、裁ちばさみを布・紙兼用にする方はいませんよね。それと同じです。
2.小型のもの
ロープ専用のはさみですから、大きい必要はありません。無駄に大きいと危ないだけです。一般的な裁ちばさみは大きすぎ、事務用のものくらいの大きさなら良いと思います。
3.先が丸いもの
はさみによっては細かい作業がしやすいように先がとがっているものもありますが、ロープ用としては危ないだけですので、先が丸いものにします。
4.刃が銀色のもの
これは優先度としてはあまり高くありませんが、見た目のはさみらしさを重視して、刃が銀色のものがおすすめです。最近はフッ素コートなどで刃が黒いものや、白いセラミック刃もありますが、オーソドックスが一番わかりやすいものです。
5.左右対称
これも優先順位は低いのですが、持ち手の部分が左右対称の方が、向きを気にしなくてよい分、楽です。本格的な裁ちばさみ等は長時間の作業にも疲れにくくするために、親指側の輪が小さく、より手にフィットするようになっていますが、ロープマジックにおいてはその必要はありません。
というわけで条件を挙げてきましたが、これらを満たすはさみの例が下の写真です。
全体として、マジックを安全かつスムーズに進めることができることが重要だということがわかっていただけたのではないかと思います。
余談ですが、あるプロマジシャンの方に伺った話で、ロープをお客さんに切ってもらうマジックを演じた際、お客さんに誤って手を切られてしまったことがあるそうです。確率的には低いと思うのですが、プロマジシャンなら何十回、何百回というステージを踏む中で、そのような事故が起こってしまったのだと思います。
皆さんはできるだけ、自分だけではさみを扱うようにし、その際も細心の注意を払って落ち着いて演じるようにしてください。マジックも安全第一です。