四つ玉は大舞台でもはっきり見えてわかりやすいマジックです。しかし、演じ方次第では見づらく、わかりにくいマジックになってしまいます。
その違いはどこにあるのでしょうか?その奥義を2つ、お教えします。ありとあらゆる手順に適用できますので、ぜひご一読ください。
四つ玉の秘訣1 隠さない
40mmの四つ玉は小さくて見えにくいから50mmを使おう、というのはちょっと待ってください。
もちろん50mmのボールを問題なく扱えるのなら構いませんが、そもそも直径40mmのボールをきちんと40mmに見せられているでしょうか?
まずは下の写真をご覧ください。
このボールの持ち方は一見普通ですが、よくよく見ると、ボールの面積が半分近く隠れてしまっていることがわかります。それでは次の写真ではどうでしょうか?
少しの違いですが、このように持てばボールの面がより多く見えています。
それでは次の写真はどうでしょうか?
今度はボールがボールによって隠れてしまっています。ボールが1個なのか2個なのか、はたまた3個なのか、しいて言えば1.5個といったところでしょうか。
ボールは観客の目線に対して垂直に見せなくては、ボールの個数をはっきり示すことができません。
このように持てばボールが2つであることが明快です。
これが1つ目の秘訣、ボールを自分の手や他のボールで「隠さない」です。
四つ玉の秘訣2 動かさない
満月のようにボールを綺麗に全部見せることができれば、40mmのボールでも舞台で十分見せることができます。しかし、もうひとつ、ボールを見せる上で大切な要素があります。
それはボールを見せるときは静止させることです。人間の動体視力には限界がありますから、動いているものを正確に見ることができませんし、頑張って見ても目が疲れます。
ところが、静止していると遠くからでもはっきりと際立って見えます。
もちろん、ずっとボールを静止させて四つ玉の手順を行うことはできませんが、ボールが消える直前、出現した直後、増加・減少する前後など、ポイントとなるところでボールを止めることでぐっと演技が見やすくなります。
また、四つ玉のボールは小さいものですから、マジシャンの動きも最小限にした方がよく、その方が相対的にボールが大きくはっきりと見えます。
2つ目の秘訣はボールを「動かさない」、マジシャンの身体も「動かさない」です。
おわりに
ボールを隠さずに最大限見えるようにする、動きを最小限にしてボールの存在を際立たせる、というのは聞けば当たり前のことのように思われるかもしれません。
しかし、この当たり前を達成するのに何か月も、何年もかかるのがスライハンドなのです。
難しいテクニックを使っているのに何故か見づらい演技はないでしょうか?手順の難度を上げる前に、「隠さない」「動かさない」という基本を徹底することが大切です。
シンプルな手順であっても、全ての現象が伝わるのが本当に上手なマジシャンなのです。