緊張について

これから忘年会やクリスマスシーズンで、マジックを披露する機会も多いかと思いますが、多くのアマチュアマジシャンにとって悩みの種になっている「緊張」について、これまでの経験や考えたこと、わかったことなど書いていきます。

プロも緊張する

プロマジシャンなら誰でも「プロでも緊張するんですか?」という質問を受けたことがあるものです。私自身も緊張はしますし、私の知っているプロマジシャンも程度の差はあれ、緊張する人が多いです。また、「むしろ緊張した方が良い、緊張するべきだ」と言う人もいます。どういう意味か、少し考えてみましょう。

良くない緊張

手は震えて汗でびっしょり、セリフはド忘れして、段取りも間違える、といったような 、いわゆる絵に描いたようなガチガチの緊張は、当然するべきではないでしょう。過度の緊張は本来のパフォーマンスを発揮できない、ということは様々なジャンルにおいて説明されています。逆にいうと「適度な緊張」というものがあるということです。

英語ではテンション

日本語で「緊張」というと、どうしてもネガティブなイメージがあるため、「良い緊張」は英語のtension(テンション)に置き換えるとわかりやすいのではないかと思います。日本語でも「あの人はテンションが高い」などと日常でも使います。プロの芸人が、よく「緊張しろ」というのは、「ステージにおいて、ショーマンとして相応しいテンションを保て」という意味に解釈できると思います。

実際、いくら過度の緊張が良くないからと言って、緊張感ゼロの、まるで寝起きのような低いテンションで舞台に立っては、良いパフォーマンスはできそうにありません。そのような意味では、やはり緊張はするべき=テンションを上げていこう!となるのです。

シチュエーションに相応しいテンション

というわけで、マジックの発表会や、どこかで依頼されてマジックを演じる場合は、意識的にテンションを上げて演じた方が良いのですが、例外もあります。例えば、完全にプライベートでマジックを見せるときです。その場合は普段とまったく同じテンションで演じた方が良く、変にハイテンションで演じても気持ち悪いだけです。もちろん、普段からエンターティナー気質で、テンションが高い方はそのまま演じます。

また、ステージやパーラーであっても、その場にいるほとんどの人が普段の自分を良く知っている内輪の会の場合、普段と別人のように演じるのは得策ではありません。むしろ皆が自分を知っていることを逆手にとって、等身大で演じた方が盛り上がりますし、周りも安心して観ることができます。

「良くない緊張」の対策

さて、話を少し戻して、「良くない緊張」はどうすれば減らせるか、ということを考えてみます。ここでちょっと皆さんにも小学生の頃を思い出していただきたいのですが、運動会の短距離走で、スタートの合図をするピストルの音が鳴る瞬間、毎年ものすごく緊張していなかったでしょうか?私ももちろん緊張していて、しかも明らかに適度なレベルを超えて過度な緊張に陥っていたと思います。当時の自分は子供ながらに、「これで緊張しないのはまず無理だろう」と思っていました。

しかし、中学生になって陸上部に入った私は、この緊張をほぼ克服してしまいました。というのも、陸上部の練習は週5日あり、毎度の練習で、ピストルこそ使わないものの、部員同士で「よーい、ドン」の瞬間が複数回あるのです。練習によって完全に「よーい、ドン」慣れした私は、少なくとも過度の緊張に陥ることはなくなりました。

結局のところ、慣れが効果的であることは間違いなさそうです。ちなみに私はマジックの場合、小学校高学年くらいで過度の緊張は克服していました。低学年の頃はマジックをするだけで手が震えて仕方なかったのですが、マジックだけでなく、当時「代表委員会」のようなものをやって、クラス全員や、全校生徒の前で話す機会が増えたのも効果があったと思います。

あらゆる経験が間接的にマジックに役立ったり、逆にマジックが他の活動に良い影響を与えたりすることもあり、それもマジックという趣味の魅力だと思います。

緊張や失敗もエンターテイメント

対策ではありませんが、「緊張や失敗もエンターテイメント」と割り切ってしまうのも大切です。高い出演料をもらっているわけでもなければ、気負うことはない、と考えます。実際、私が他の人がマジックを演じているのを見て思うのは、マジックの面白さは非常に幅が広いのだということです。もちろん、すごく不思議だったり、技が見事だったりということもあるのですが、下手でも、いや下手だからこそ面白い、ということもたくさんあります。

「緊張しても良いんだ」と思えるのは大切ですが、ここでひとつだけ注意してほしいことがあって、それは「予防線を張り過ぎない」ことです。

例えば、マジックを始める前に「まだまだマジックを覚えたばかりで失敗するかもしれませんが…」とか「今日は皆さんに見ていただいているので大変緊張して、手が震えて…」などです。このようなセリフはあまり面白くないことがほとんどです。というのも、緊張していることは見ていればわかりますし、むしろ緊張の中、一生懸命やっている姿こそ美しいのです。また、「失敗するかも」というセリフを言ってしまうことで、観ている人は「また失敗した」などと余計に失敗を意識してしまいます。

つまり、「緊張」していること自体、「失敗」したこと自体がエンターテイメントであり、予め言う必要はないのです。

まとめ

・本番に相応しいテンションで臨もう!

・過度な緊張は慣れるしかない

・緊張している姿や、失敗のシーンはそれ自体が面白いこともある

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です