マジシャンや魔法使いが魔法をかけるときに使う短い棒をマジックウォンド、または単にウォンドと言います。ハリーポッターのおかげで日本でもある程度有名になりました。しかし、なかなか自分好みのウォンドは見つからないもので、今回から3回にわたって自作の方法を紹介します。今回は予備知識編です。
ステージ用とクロースアップ用の違い
そもそもステージ用とクロースアップ用で分ける必要があるのか、という疑問がありますが、やはり両者で求められる性能に違いがありますので、どちらかというと兼用にするよりは専用にした方が良いかなと思います。
ステージ用ウォンドに求められる性能
まずは遠くからよく目立つことが大切で、多くの場合両端が白くなっているのはこのためです。反対に間近で見られる前提ではないので、高級感はあまり重視されません。演劇をはじめとする舞台芸能に使われる小道具・大道具が近くで見ると結構粗い作りなのに、客席から見ると立派に見えるのに似ています。
また、軽快な取り回しのしやすから、どちらかというと軽量なウォンドが便利で、材質は木やプラスチックなどの樹脂が良いのではないでしょうか?
クロースアップ用ウォンドに求められる性能
お客さんに近くで見てもらったり、ときには手に取ってもらったりすることもありますので、綺麗で高級感があることが大切です。逆に、遠くから見る前提ではないので、あまり派手なカラーリングにする必要はありません。マジシャンのキャラクターにもよりますが、基本的には派手な色合いにすると安っぽくなる傾向はあります。
また、高級感の演出や、ウォンドスピン(ウォンドを回すこと)のしやすさから、多少重量のあるウォンドが好まれます。ただし、私はクロースアップ用であってもやや軽めのウォンドが好きなので、この辺は好みによって異なります。
自作の意味
マジックショップに既製のウォンドはたくさん売っているのになぜ自作するかという理由です。
自作がそれほど難しくない
自作があまり大掛かりになってしまう道具は、買った方が早いということになってしまいますが、その点ウォンドはそこまで大変でないので、自作する価値はあると思います。
既製のウォンドの欠点
意外に既製のウォンドは重すぎたり軽すぎたり、長すぎたり短すぎたりと、問題があるものです。しかも値段が高ければ良いとも限りません。また、作りが粗かったりすると、これなら自作した方が良いなと思わされます。
個人的には先端が金属のウォンドはあまり好きではありません。高級感はあるのですが、取り回しが重くなるのと、カップ&ボールに使うとカップがボロボロになること、テーブルでも道具でも叩いたもの全てに傷がつくこと、お客様の手を叩く演出などは余程気を使って優しく叩かないと痛いこと、コインや指輪などと合わせて使うとき、ぶつかって不用意な音がしてしまうことなどです。
逆に叩いて大きな音を出せるのが金属のウォンドの特徴ですが、木製のウォンドでもコインやカップを叩けば十分な音がしますので、先端が金属である必要は私はあまり感じません。
唯一無二のウォンド
ウォンドに限らず、自作の道具は出来がどうあれ、少なくとも「全ての観客にとって初めて見る道具である」という点で優れています。マジックマニアで、よくマジックショップのホームページを見ている人であっても見たことがない品です。マジックをやらないお客様には関係ないじゃないかと思われるかもしれませんが、誰でもスマホで検索できる時代ですから、むしろ唯一無二の自作の道具の価値は上がっていると思います。
まとめ
次回からいよいよ具体的な作り方に入っていきたいと思いますが、そもそもマジックウォンドの自作は他のブログやホームページでも結構扱っているテーマですので、ここは私なりの価値観を強めに押し出して、独自性を出していこうと思っています。