今回はコインボックスについての考察と、コインボックスについて書かれた本の紹介です。私はこのマジックが好きで、以前コインボックスでコンテストに出たことがあるくらいです(笑)。
コインボックスの長所・短所
コインボックスは元々はピルケース(薬入れ)なのですが、現代では見慣れないものです。そこで道具が怪しいと思われるのが嫌で、敬遠する方もいらっしゃるかもしれません。ところが、コインボックスは演技の前後にお客様に調べてもらうことができます。
そもそもコインボックスは非常にシンプルな形状ですので、ちょっと手に取れば何も異常がないことがわかります。むしろ見慣れない道具だから、お客様の興味をひく可能性もあります。すべての道具が自然である必要があると考えるのは、芸能芸術としてちょっと狭い考え方です。見たこともない小道具であっても不思議で面白ければ問題ありません。
また、完全にマジシャン側の自己満足のメリットとしては、道具への愛着です。金属製のコインボックスはマジックの道具としては珍しい、一度買ったらずっと使える一生モノです。新品のコインボックスは切削された表面の乾いた輝きがあり、これも美しいのですが、使っているうちに徐々に傷付き、錆びる度に磨いていくと唯一無二の質感になります。
(磨くときは上のような金属磨きを使います。乾拭きではさすがに錆が落ちません。)
自己満足と言っても道具を大事にすることは、そのマジックを大事にすることにもつながりますし、ぜひコインボックスを長年の相棒にしていただけたらと思います。
コインボックスの種類
こちらの本にものすごい種類のコインボックスが紹介されているので参考になるかと思います(こんなに何でも書いてしまって大丈夫かと思うくらいですが)。
私のおすすめは最もスタンダードなオキトか、オキトの代用にもなってちょっとお得なボストンです。材質はアルミや真鍮が多いですが、アルミだとコインの銀色と似ているため、真鍮がおすすめです。
コインボックスについて書かれた本
上記「クラシック・マジック入門事典」にはケン・ブルック氏のかなり長い手順が載っています。この手順では3つのボックスを使うのですが、部分的には1つでもできます。むしろ個人的にはボックスは1つにして、手順も短く再構成した方が実践的には演じやすいかなと思います。
コインマジックの定番中の定番、コインマジック事典にはデビッド・ロス氏とモハメド・ベイ氏の手順が載っています。どちらもボックス1つでできる良い手順で、練習は必要ですが再現性は高いと思います。
こちらもコインボックスの手順が2つ載っていますが、内容的には「クラシック・マジック事典」のケン・ブルック氏の手順の前半、後半を2つに分けたようなイメージです。
ジェイミー・イアン・スイス氏も「ボックスは1つ」派のようです。手順はバーやテーブルホッピングを想定した感じで、比較的難易度は高いですが、私も好きな構成です。
こちらの本にはコインボックスの歴史や、テクニックがまとめてあり、手順は荒木さんのものが1つ掲載されています。荒木さんらしく独自性もあり、座って演じる前提ではありますが、立って演じる人にも参考になります。
注意
今回ご紹介した本は取り扱い書店が限られていたり、絶版になっていたりして、通常の書店で探すのは難しいと思います。コロナ禍の中、本屋巡りをしても無駄足になりますのでその点はご注意ください。やはりネット通販で探すのが早いかと思います。上の画像はすべてクリックするとAmazonの該当ページにとびます。
情報源は本にしてもDVDにしても、できれば2つ以上参照して、色々な考え方を知った上で、自分に合った手順を練習すると良いと思います。