1500円で買える四つ玉の究極の手順!?

四つ玉はスライハンドの代表的な作品で、演者の技量や狙い、趣味嗜好によって無数の手順にアレンジできる点が魅力です。同時に、どんな手順にするか悩んでしまってなかなか完成しない方もいるかもしれません。そこで、今回は私がおすすめする手順とその入手方法をご紹介したいと思います。

私がおすすめする手順とは、DPGの四つ玉に付属する説明書です(同じDPでも子供向けの「魔法のボール」に付属する説明書は微妙に異なります。「シカゴの四つ玉プロフェッショナル」シリーズがおすすめです)。

同様の解説書としてはテンヨーの四つ玉に付属する説明書もありますが、こちらはさすがにシンプルすぎるので説明書に関してはDPに軍配があがります(テンヨーの四つ玉自体の品質は素晴らしいです)。

さて、これまでに様々な書籍、DVDなどで数多くの四つ玉の手順が発表されてきましたが、なぜ私がこの手順がおすすめなのかという理由を説明したいと思います。

まず、多くの四つ玉の手順は難しすぎるということが挙げられます。超絶技巧のピアニストのように毎日数時間の練習を厭わないというのであれば話は別ですが、アマチュアの方であれば通常は1日1時間の練習ですら難しいものです。だから無理なくマスターできる難易度のものが良いのです。

また、該当の説明書のようにシンプルな手順であっても、やっぱり四つ玉は難しい、という点が挙げられます。種がちらっと見えることをマジックの専門用語でフラッシュと言いますが、一切のフラッシュ無しで説明書の手順が演じられるのはそれなりに高いレベルのマジシャンだと私は思います。まずはこのようなシンプルな手順をフラッシュ無しで演じられるようになるべきなのです。

次に、ウケるかウケないかという観点です。大前提として、この手順でも四つ玉は問題なくウケます。逆にこの手順でウケなかったら他のもっと難しい手順をやっても決してウケません。なぜなら四つ玉がウケないのは手順が簡単だからではなく、種が見えていたり、現象が伝わっていなかったりするからです。難しい手順はフラッシュしやすく、現象もわかりづらくなりますので、実はウケにくい手順です。これくらいシンプルな手順で、まずは出現、消失、移動をはっきりと表現できるようにならなくてはいけません。

例外なのはコンテストです。マジックコンテストでは新規性やマジシャンが見たときの不思議さが評価されやすいので、このような手順は向きません。しかし、コンテストに出る方は少数派ですので、コンテストに出る予定のない多くの方は気にする必要はありませんし、逆にコンテストに出ようと思ったときに考えればよいと思います。

他にもおすすめの理由は多々あり、例えばテーブルが要らない点、四つ玉以外の素材が必要ない点、ホルダーが要らない点、衣装を選ばない点、オープニングクリーン、エンドクリーンな点などなどです。

なぜDPの四つ玉説明書がこんなに優秀なのかと言えば、それもそのはず、当時マジック界の第一人者であった高木重朗さんが考案・指導してきた手順だからです。スライハンドでありながらさりげないサトルティが効いており、真に実践的な手順だと思います(完璧なステージ環境でなくても、ちょっとした機会に人前に立って演じられます)。

唯一の欠点と言えばこの説明書を単独で買うことができないこと、もし買えたら製品単価から逆算して数十円くらいでしょうか。現状はDPの四つ玉のおまけとして付いてくるのみとなっています。

ただし、DPの四つ玉の品質も決して悪くなく、特にボールに関しては滑りにくいために以前はコンテスタントがテンヨーのシェルにDPのボールを組み合わせてよく使っていました(ただし今はシリコンなどの品質の良い四つ玉が増えたため、現在はそれらを使う人が増えました)。

シェルがあまり良くないという人もいますが、個人的には十分使えるレベルだと思っており、1万円以上する四つ玉をいきなり買おうという人も少ないと思うので、まずはお試し版として買ってみても良いかと思います。私のおすすめは「プロフェッショナル40」でポケットに入れも窮屈にならず、ある程度大きい会場でも十分なサイズです。ただし、精度や美しさに関しては高級品には敵いませんので、過度な期待はできません。とはいえ、ステージマジックですから遠目に見て大丈夫なら許容範囲かと思います。

四つ玉を演じたい方はぜひこの手順をマスターしていただきたいとともに、正直なところ「これを第一歩にもっと難しい手順にチャレンジしよう」とすら考えなくて良いんじゃないかと思います。この手順が完璧にできたらアマチュアとしてはむしろ名人芸で、つまりは入門手順であると同時に卒業手順でもあると思います。ぜひ取り組んでみてください。

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