マジックにおける嘘について②

今回は、マジックにおいて、ついてよい嘘といけない嘘がテーマです。

マジックでついてよい嘘

私は、マジックのひとつひとつの演目は、それぞれがフィクションの作品であるという考えにより、そのフィクションの中では嘘をついてよいと思っています。

例えば、「コインが3枚あります。」とか、「どんなカードが選ばれるかは誰にもわかりませんでしたね?」などです。コインは実は3枚ではなかったり、実際にはマジシャンは何のカードが選ばれるか分かっていたりするのですが、嘘をつくことで、マジックがわかりやすくなるなら、嘘の説明はするべきだと思います。仮にコインの枚数が増加するマジックを演じるとき、元は何枚だったのかということを強調しておかないと、1枚増えたことに誰も気づかない可能性すらあります。

これらの嘘をついてよい理由は、マジックというフィクションの中の出来事だからです。

マジックでついてはいけない嘘

マジックで複雑なのは、現実とフィクションが一部入り乱れている点です。マジックを演じているときに、フィクションのセリフとは違うあなた自身の『地の文』が混ざる場合があります。

例えば、「これは先日私が考案したマジックです。」などと言ってマジックを始めるのは構いませんが、実際には別の人が考案したマジックである場合は、このセリフは言うべきではありません。マジックというフィクションの外にある現実のセリフに聞こえますから、そこは本当のことを言うべきなのです。

曖昧な部分

「魔法をかけます。」「おまじないをかけます。」といったマジックでよく使われるセリフは、明らかにフィクションですから、ついても構わない嘘だと思うのですが、「超能力です。」というセリフはどうでしょう。

個人的には、フィクションであることが明らかで、どうせ誰も信じないのだから、使ってよいと思っていますが、演じる人のキャラクターとマジックの内容、観る人の価値観によっては、本当だと思われてしまうこともあります。

メンタルマジック(超能力風のマジック)を演じるときにこれを回避するためによく使われる演出は、「マジックで超能力を再現してみましょう。」などといった表現です。これは正直で無難な見せ方ではありますが、メンタルマジックの雰囲気を壊してしまうともいえます。私自身は生粋のマジシャンであり、この辺の考察はメンタル寄りのマジシャンの方にお任せしたいとも思っています。

おわりに

『嘘』や『だます』という言葉にはネガティブなイメージがありますから、マジックがネガティブに捉えられてしまわないよう気を付けたいものです。その上で、嘘=悪というような短絡的な価値観でなく、フィクションという高度な文化の理解を大切にしたいとも思います。

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