セリフの考え方

今週末にイベントもあるので、最近台本をいろいろと書いていたのですが、マジックのセリフ全般について色々と考えたことをまとめてみました。もしかしたらマジック以外にも、例えばスピーチやプレゼンなどにも応用できるかもしれません。

私はマジシャンがセリフを考えるにあたって、主に3つ(4つ?)の方針があるのではないかと考えました。

1.最小限のセリフ

例えばマジシャンがカードを無言でリフルしたとしても、通常は誰も「ストップ」とは言ってくれませんよね?「お好きなところでストップと言ってください」などのマジックを成り立たせる上で最低限必要なセリフはあります。

そのような最小限のセリフのみを使う方針が一つ目です。初心者の方であまり多くのセリフを言う余裕がない場合はこの方針が良い場合があります。また、ベテランのマジシャンであっても雑然とした環境であまり長いセリフをゆっくりと聞いてもらえないような場合は、必要最小限のセリフを大きな声で言うのが良い場合もあります。

2.現象至上主義

マジックは不思議現象を見せることがメインなのだから、現象を際立たせるセリフは積極的に追加し、そうでないセリフは排除するするという方針もあります。

この方針の場合、前述の最小限のセリフはもちろん、さまざまな説明やストーリー、ジョークを交えることもあります。ただし、それらの追加したセリフは、お客様からすると単なる物語やジョークに見えたとしても、実際にはマジックを引き立たせるためのセリフになっています。

例えば、空の箱をお客様に調べてもらうときに、「中に誰か隠れていたりしませんか?」などというセリフがあります。明らかに人が入らないような小さな箱なのにこのセリフを言うのは、もちろんジョークなのですが、箱が空なのを暗に強調しています。

また、有名なダイ・ヴァーノンのトライアンフのストーリーは、やはり現象を際立たせるためのストーリーであることがわかります。

「すべてのセリフは不思議現象のためにある」というスタンスは最もストイックで、ある意味マジックの理想形といえます。この方針でセリフを構築するには、自分の演じるマジックに対する深い理解(=このマジックはどこが不思議なのか)があった上で、多少多めのセリフも苦にせず、ジョークや笑いを使う余裕も必要です。初心者には難しいですが、中級者以上なら「セリフによっていかにマジックの不思議さを高めるか」という視点は非常に大切なのではないかと思います。

3.エンターティナー

1、2よりもさらにセリフを増やし、「必要なセリフや、不思議さを高めるセリフだけでなく、笑いや面白さなど、不思議と関係ない感動を引き起こすためのセリフも加える」というスタンスです。これは一見、2の現象至上主義のセリフと似ています。なぜなら2もジョークやストーリーは語っているからです。

しかし、例えばダーク大和がマジックの合間にインチキな英語で桃太郎の話をするところなどは、面白いですし、実際にウケていますが、さすがにマジックの現象とは関係ありません。また、マギー司郎さんのマジックでも不思議さと関係ないセリフがあります。

このようなセリフも入れてしまおうと考えるのがエンターティナーで、プロマジシャンはこのスタンスを採っている方が多いように思います。ただし、不思議さにも面白さにも結び付かないセリフは削るという点は2と似ています。

4.セリフ・マックス?

セリフが長くなりすぎてしまう方もいます。これは思いついたセリフを全部採用してしまって、削っていないからだと思います。私が優先的に削るべきだと思うセリフは、

  • 不思議さに貢献していないセリフ
  • 面白さに貢献していないセリフ
  • ネガティブなイメージのセリフ

です。不思議さと面白さに関しては前述のとおりです。ネガティブなセリフの例としては、

  • 「私はマジックが下手なので失敗するかもしれません」
  • 誰かの悪口
  • 病気やけがに関する話
  • 犯罪に関する話

「マジックが下手なので~」のセリフは言ってはいけないけど言いがちなセリフの定番です。これを言ってもハードルは下がるどころか、マイナスからのスタートになってしまいます。また、悪口はマジックでも日常でも言ってはいけないので、私も気を付けています。

また、マジックの究極の目的は「マジックを通して人を幸せにすること」ですから、病気やけが、犯罪などのネガティブな内容は、よほどエンターテイメントに昇華できなければやめた方が良いのではないかと思います。

私も日々四苦八苦してセリフを考えていますが、「これは面白い!」「これは上手い言い方だ!」というセリフを思いついたときは大変嬉しく、マジックの醍醐味だと思います。

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