マジック講座でカードを多用する理由

私のマジック講座ではなるべく多種多様なマジックを扱ったり、受講生のご希望に合わせた素材を使っていますが、全体としてはカードの割合は高くなっています。それには複合的な理由があり、今回はそれを説明してみようと思います。

極論、素材は何でもよい

マジックを上達するのに、極論をいえば素材は何でもよいと考えています。マジックという大山をカードというルートで登るか、コインルートで登るか、はたまたロープか、シルクか、という違いはあれど、目指している山頂は同じものであると考えているからです。もしマジックが宇宙なら、それを観測するための望遠鏡が複数あれど、観測対象は同じ宇宙なのです。

高い道具、かさばる道具、用途の限られた道具

しかし、私がどうにも好きになれない素材もあります。それは極端に値段が高い道具、非常にかさばる道具、にもかかわらず用途の限られた道具です。

もちろん、プロマジシャンが得意芸とするならその費用は問題になりませんが、アマチュアマジシャンが値段が高い道具を次々と買って、碌に習得できないまま道具ばかり溜まっていくのは健全だとは思えません。それが大きくてかさばる道具だとなお問題で、大切な生活スペースすら圧迫し始めます。

マジックの道具の用途が限られるのは、ある程度仕方ありませんが、一つの道具で複数のマジックが演じられるのが理想です。そうなると値段が安く、コンパクトで、なおかつ無限に近いマジックを演じられるプレイングカード(トランプ)は奇跡的な存在です。

マジックが習い事であるためには

人々が習い事に通う理由は何でしょうか?ある人は生活の刺激のひとつとして、ある人は自身の何らかの成長のため、ある人は純粋にレクリエーションのためかもしれません。

しかし共通しているのは人生を豊かにするためだということです。逆に言えば人生を豊かにするために習い事を選ぶ人は、ある意味真面目で、ストイックな一面をもっていると思います。

そうであれば、マジックグッズの謳い文句のように「誰でも簡単にすぐできる」というのは習い事とは相反する考え方です。

例えば楽器のレッスンなら、初心者なら最初はできるだけ簡単な曲を練習するでしょう。しかし、初心者であっても少しの練習でできる簡単な演奏で人々を心から感動させることはできないのを知っています。わざわざ習い事をするなら、多少なりとも難しいことに挑戦し、達成感を得たいはずです。

カードマジックは繰り返し修練し、上達するのに適した素材です。

実際に教えるのは

それでは私のレッスンでは余程ストイックに難しいテクニックを練習するのだろうと思う方もいるかもしれません。もちろん、個人レッスンで、受講者の方の要望があれば難しいテクニックも扱います。

しかし、私のレッスンで通常扱うのは、カット、シャッフル、ディールの類がほとんどです。そんなものはもはやカードの基本操作であり、テクニックですらないと思う方もいるでしょう。

しかし、これが本当に大切で、このような基本操作が正しくできて、適切なプレゼンテーションができれば非常に多くのマジックができるのです。そして基本を繰り返すことこそ習い事だと思うのですがいかがでしょうか?

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