皆さんは既に絶版になった名著、カズ・カタヤマさんの「図解ステージマジック入門」はお持ちでしょうか?この本には見開き2項で燕尾服、タキシード、モーニングの着こなしの説明が簡潔に載っています。もちろん、持っていない人も他の書籍や雑誌、インターネットなどで情報を得ることはできるでしょう。
これらはステージマジックをきちんとした衣装を着て演じる人にはとても役立つものです。しかし同時に、現在ではここまでフォーマルな衣装を着るマジシャンは少なくなっているように思います。
また、クロースアップを演じるときは、燕尾服などを着てしまうとちょっと大げさすぎて、観客とのギャップが生まれてしまうのも事実です。
そこで、今回は現代に合わせたステージ及びクロースアップマジシャンの衣装の着こなしを私なりにご紹介したいと思います。また、この記事を導入として、各自さまざま調べていただければ幸いです。
男性の衣装は2種類しかない
いくらカジュアルな衣装といっても、あくまでタキシードやモーニングと比べてカジュアルという意味であり、さすがにTシャツにパーカー、スウェットパンツでマジックを演じるわけにはいきません。Tooフォーマルはおかしいですが、最低限、見てくださる方への敬意は必要です。
さて、フォーマルな衣装は主に3種ありましたが、カジュアルな衣装は2種類しかありません。「スーツスタイル」か「セパレートスタイル」です。
スーツはご存じの通り上下でセットになった洋服であり、買うときも基本的には上下セットで買うしかありません。上下全く同じ色、同じ生地で作られています。
それに対し、セパレートにするなら紺のジャケットに、グレーのスラックスなど、色も素材も違っていて構いません。
少しフォーマルなスーツ、少しカジュアルなセパレート
どちらもタキシードよりはカジュアルですが、少しフォーマルなのがスーツ、少しカジュアルなのがセパレートです。演じるTPOやマジシャンの好みによって決めて良いと思います。
ただし、選ぶときにちょっと難しいのはセパレートです。例えば黒のジャケットに濃紺のスラックスなどを合わせると、スーツなのか別なのか、中途半端であまりよくありません。ある程度はっきり違う色や素材にした方が合います。
しかし、マジシャンのキャラクターやTPOによってはスラックスの代わりにジーンズやチノパンなどを合わせることができるのは、セパレートの面白さです。
また、スーツの場合はやはりネクタイをした方が良いと個人的には思います。スーツは上下同色・同素材のため、情報量が少なく、ネクタイがないと少し寂しい印象になるからです。
セパレートの場合、もちろんネクタイをした方が格好良いと思いますが、少しカジュアルにしたいという意図でノーネクタイでも良いと思います。場合によってはインナーにノーカラーシャツやTシャツを合わせる場合もありますし、その場合はもちろんノーネクタイになります。
個人的には、音響・照明がしっかりとあるステージの場合は衣装も気合を入れてほしいと思いますが、気合を入れるといってもフォーマルだけが正解ではありません。例えばMr.Childrenの桜井さんはライブでスーツを着ることはあまりありませんが、かといってだらしなくは見えません。フォーマルでなくても似合っていて、世界観に合っていればOKだと思います。
夏の場合
昨今ではマジシャンも真夏はノージャケットでも良いと思います。その場合はセパレートスタイルのバリエーションになります。ジャケットを着ない場合、重要なのはネクタイもしないことです(私も以前間違えていました)。シャツの色は自由ですが、ボタンだけ黒とか、ステッチだけ青などのおもしろいデザインはやめましょう。
その他の小物
靴は黒の革靴がもっとも無難で間違いないと思います。ちょっと注意が必要なのは靴底の雰囲気です。靴底が分厚いものだと、ウォーキングシューズに見えてしまい、せっかく革靴を選んだのが台無しです。
また、セパレートスタイルの場合、あえてスニーカーを合わせることもできます。個人的にはデザインはごてごてしたものよりも、シンプルな方が合わせやすく、綺麗であまりくたびれていないものが良いと思います。
スラックスにベルトループがある場合はやはりベルトをした方が良いと思います。普通の黒の革ベルトで良いと思います。