カードにどうしてもサインさせたくない人のために

コロナウイルスによる自粛ムードの余波がついにマジシャンの端くれである私のところにまでやってきました。いや、むしろマジシャンの端くれだからこそ影響を受けるのかもしれませんが。この雰囲気は2011年の震災時を彷彿させられますが、学校まで休みになってしまうらしい現在、コロナウイルス終息後に向けて、できる活動はしつつ、力を蓄えておきたいと思います。

さて、本題ですが、テレビなどでマジシャンがお客様にトランプにサインをさせる場面を見たことがある方も多いでしょう。プロならともかく、アマチュアの場合、カードに油性ペンでサインさせることに抵抗がある方も多いようです。かといってサインがないことによってそのマジックの効果を損なってしまっては仕方ありません。そこで解決方法を3つ紹介します。

その1 4Bの鉛筆でサインさせる

これは非常に古い方法で、今では誰も知らない、誰も使わないテクニックとなってしまいました。昔はバイシクルなどの輸入品のトランプが高価だったのに対し、今では比較的安く手に入るようになったのと、日本人のもったいない精神が多少失われた(?)せいもあるかもしれません。

すなわち、油性ペンではなく、鉛筆でサインさせれば、マジックが終わった後に消しゴムで消せる、という発想です。見栄えは多少悪くても、マジック自体の不思議さ、不可能性は鉛筆であっても油性ペンであってもほとんど変わりません。

もちろん鉛筆はマジシャンが用意した方が良いでしょう。HやHBなどの固い鉛筆は書き味が薄いだけでなく、カードを傷付けてしまうので、デッサンなどに使う4Bなどのできるだけ濃い鉛筆がおすすめです。芯が柔らかいので比較的カードを傷付けずに濃く書けます。

ちなみに、あとで消せそうだからと言って水性ペンは使ってはいけません。あとで消せるどころか、こすれるとサインが崩れる上に、隣り合ったカードまで汚してしまい、挙句の果てに手や服まで汚して余計に被害が大きくなります。はっきり言って油性ペンの方がましです。

その2 カードをコールしてもらう

これは今でも使う人が多い賢い方法です。すなわち、カードを1枚引かせるのではなく、「トランプの好きなマークと数字を言ってください。」と言って選ばせるのです。

そもそもカードにサインさせる意味とは、そのカードが1枚しかないことの証明です。例えばハートの5が2枚も3枚もある可能性を排除しているのです。自由に好きなカードを言ってもらえば、52枚すべてのカードを複数枚用意するのは困難である、という発想から、間接的にそのカードが1枚しかない証明になります。(もしすべてのカードを複数枚用意したら、1組の厚さが何倍にも膨れ上がってしまいますよね?)

この方法はカードを全く傷めない代わりに、相手の理解力によって多少効果に差が出てしまうのが欠点です。人によっては即座に理解して、サインなどするまでもなく、各カードが1枚しかないことがわかるのですが、念のために、「今自由にカードを言ってもらったので、このカードを何枚も用意することはできませんね?」などと確認した方が良いかもしれません。

その3 表向きで選ばせる

カードをコールさせる方法と同じ発想ですが、これはこれで優れた方法です。普通マジシャンがカードを選ばせるときは裏向きで誰にも分らない状態で選ばせますが、それをあえて表向きでやってしまうのです。

すると、色々なマークや数字がちゃんとあることをよく見たうえで、お客さんの意思によって1枚選びますので、先ほどの方法と同様に、そのカードが1枚しかないことの証明になるのです。もしかしたら人によってはこちらの方が、自分でカードの表をたくさん見ている分、1枚しかないという確信が強いかもしれません。

まとめ

マジックの種類によっては、相手が途中で「同じカードが何枚もあるんじゃないの?」などと言ったりすることがあります。言ってくれればまだましで、何も言わずに「同じカードを何枚も使っているんだ」と確信したまま終わってしまったら、マジックの驚きがなくなってしまいます。

もちろん、そのためにサインをしたり、そのカードが1枚しかない証明をするわけですが、マジックが終わった後で「同じカードはありませんよ。」などと言ってカードを見せるのはあまり得策ではありません。やはりマジックの最中の驚きを損なわないためにも、前もって唯一性の証明をした方が良いのです。

ついついこうした手続きは省略してしまいがちなのですが、このような点に気を配ると同じマジックでも確実にパワーアップすると思います。また、当然ですが、単なるカード当ての場合はサインさせてはいけません。サインが必要なのは主に移動現象などであり、サインさせる意味を考えるのが大切です。

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