手順作り、最後は根性

単発のトリックやテクニックではなく、ひとつの作品や一連のマジックのかたまりを手順といいます。

手順は時間にして1分から15分超まで様々ですが、大体は2~5分くらいであることが多いです。

30分のショーをやる場合、通常は10個前後の手順を作って演じることになります。

(ときどき、ショーは全体としての一体感が大切であるという考えから、30分のショーをやるなら30分で1本の手順を作らなくてはいけないと考える方もいらっしゃいますが、通常はそうはしません。なぜなら融通が利かなくなってしまい、少し短く演じたり、長く演じたりといった時間の調節ができなくなりますし、切れ目がなさすぎる演技は観客の拍手や息抜きのタイミングもなくなってしまいます。また一つひとつのマジックの主題がぼけて何を見せたいのかわからなくなってしまうのです)

さて、というわけですべてのマジシャンにとって手順作りは避けて通れないわけですが、これが当然ながら一筋縄ではいきません。

完全オリジナルマジックはもとより、本などに載っているマジックをそのまま演じる場合すら、ひとつの手順を演じられるようにするのは簡単ではないのです。

まず、道具の入手が難しいことがあります。本に載っている通りの素材が日本でいつでも手に入るというわけではないからです。

また既製のマジック道具も、手にしてみると、いろいろと気に入らないところが出てくることも多々あります。

そうなると自作をするか、既製品を改造するか、などと悩むことになります。

予算も無限に掛けられるわけではないですし、かといってあまりに安っぽい道具をお客様の前に出すわけにもいきません。

ようやく物がそろっても、練習してみると上手くいかない部分が出てきます。

それが練習で解決できるものなら良いですが、そうでなさそうなら新しいやり方を考えるときもあります。

また、一通りできるようになっても、オチが弱い、クライマックスが物足りないと感じることもあります。

そこでさらに一工夫するわけですが、そこまで来ると、そもそもこのマジックは一体何なのだろうと思えてきます。

そのような意味でも、ひとつのマジックを習得するのに、資料は複数必要であることがほとんどです。

資料を集めると、アイディアの歴史をも知ることになります。

なぜオチが弱いと感じたのか、本当にオチが必要なのか、そもそもこのマジックの本質は何なのか。

何が何だかわからなくなったからもうこのマジックに取り組むのは辞める、というのは簡単です。

結局のところ、手順作りは最後の最後は根性で完成させるのかもしれません。

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