自分を見せるか、ネタを見せるか

マジシャン、パフォーマー、芸人は皆、舞台で自分を見せるわけですし、ネタを見せるわけですが、自分を見せる方向性のパフォーマーと、ネタ(演目)を追求するタイプのパフォーマーは、比較的明確に分かれている気がします。

自分を見せることと、ネタを演じることはどちらも大切だが…

自分を見せることと、ネタを演じることの両方に優れたパフォーマーが最良であることは言うまでもありませんが、人間はそんな簡単にバランスがとれる生き物ではありません。

むしろ、「マジックを演じたい」「ステージに立ちたい」という動機をゆっくり思い出してみると、ほとんどの方が「自分を見せたい」か「ネタを追求したい」かのどちらかに二極化される気がしています。

パフォーマンスをする最初の動機はどんなものでも良いと私は考えていますが、傾向としては、「自分を見せる」タイプは女性に多く、「ネタを追求する」タイプは男性に多いと感じています。

(もちろん例外もあります。例えば手芸が好きな女性はマジックも落ち着いて練習する傾向がありますし、サービス精神旺盛な男性は自分を見せるのが上手かったりします)

パフォーマンスをする最初の動機はどんなものでも良いと私は考えていますが、どちらのタイプもそれぞれ長所と短所があります。

自分を見せるタイプ

芸能は自分を客観視することがとても大切です。

そのような意味では、自分が他人からどう見えているかを強く意識するタイプが有利なのは言うまでもありません。

女性にこのタイプが多いのは当然で、若いころからメイクやファッションに興味をもつのも女性が多いでしょう。

マジックやパフォーマンスを始めて、比較的早く一定の水準に到達するのもこちらのタイプだと思います。

なぜなら、まずは衣装や音楽、道具立てを整えるので、人に見せる上での合格ラインに達しやすいのだと思います。

ただし、ある程度以上にパフォーマンスが上達しづらいのも特徴です。

マジックというジャンルそのものを愛しているわけではないので、演目そのものの探求がおろそかになりやすいのかもしれません。

表現力に優れていたり、世界観を表現したいという気持ちはあっても、技術やアイディアが追い付かないこともあるのです。

演目を追求するタイプ

私を含む男性に多いのがこのタイプです。

マジックや、ジャンルそのものを愛していて、下手をすれば舞台はもはや舞台ではなく、実験場です。

研究を重ねて、万全の準備をするのが主たる活動で、舞台は実験や研究発表の場なのです。

研究対象はマジックの種とは限りません。人によってそれはテクニックであったり、仕掛けであったり、様々です。

衣装や道具立てに全く無頓着なのもこのタイプです。

しかし、それではお客様の心をつかむことができません。

ですから、基本的にこのタイプはなかなか上達しないように見えます。実をいうと本当は上達しているのですが、傍から見ると上達がわかりにくいのです。

しかし、研究が実を結べば後はプレゼンテーションのみです。

演目のレベルが上がってくると、徐々にエネルギーを演出に向けられるようになってきます。

一つの山

しかし、私はこの二つのタイプの人間が、まったく別のことをしているようで、実は同じ山を別のルートから上っているだけなのではないかと考えています。

最初は自分を見せたいだけだった人も徐々に技術や実力がついていき、演目にしか興味のなかった人も徐々に観客に寄り添うようになっていく。

辿り来て未だ山麓

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