私はもう10年以上マジックの講師をやっていますが、もしかしたらこのブログを読んでいる方の中にも今後定期的に、または不定期にマジックを人に教える機会がある方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回はそのようなときに参考になる情報をご紹介したいと思います。
1.できるだけシンプルで簡単な内容にする
マジックを人に教える機会があるという時点で、かなりマジックが得意であると思われますが、当然ながらマジックが得意な人ほど、難しいマジックでも楽々こなしてしまいます。
そのため「これくらいなら簡単にできるだろう」という基準が高くなってしまうことが多々あります。その結果、内容が難しくなりすぎて、ほとんどの人がついていけなくなってしまいます。
自分の感覚よりもはるかに簡単でシンプルな内容にした方が良いでしょう。
「そんなに簡単な内容にしたら、受講者が物足りなくなるのでは?」という疑問もあるかもしれません。しかし、私の経験上、「難しすぎる」と言われたことはあっても「簡単すぎる」と言われたことはありません。
また、実際に演技する上でのコツや注意点、より効果的に見せるための工夫などをきちんと講習すれば、仮にベテランのアマチュアマジシャンであっても大いに満足していただけるでしょう。
マジックそのものは、あくまで題材に過ぎないのです。
2.現役のマジックは要注意
指導目的であっても、現役のマジシャンが考案したマジックで、今も売っている本やDVD、映像教材に載っているマジックの種明かしは、違法とはいえないまでもマナー的によくありません。
クラシックとして定着したマジックで、原案者が古いマジックであれば比較的安心です。クラシックと思いきや、比較的新しいマジックのこともありますので、そのマジックについて、可能な限り経緯を調べておくのは大切です。しかも、それが自分自身の勉強にもなります。
ただし、個人的にはあまり厳格になりすぎるのも考えものだと思っています。というのも、あまりに厳格なルールはかえって文化を委縮させますし、また、誰もルールを守らなくなることにもつながると思うからです。違法でない以上、各人の良心に任されているといっても良いでしょう。
3.最初に素晴らしい演技を見せる
これが最も大切です。というのも、受講者は最初に素晴らしい演技を見ることで「ぜひこのマジックを覚えたい!」という大きなモチベーションになるからです。
最初に下手な演技を見せてしまったり、ましてやいきなり種明かしから始めてしまったら、ほとんどの受講者は「なんだ、大したマジックじゃないな」と、そのマジックを正しく評価できず、学習のモチベーションが湧きません。
ですから、まずは何はともあれ模範演技を見ていただくのが先です。ここで感動を与えることができなかったら講習自体が失敗だといっても過言ではありません。ですから最大限気合を入れて(もちろん種もばれないよう)演じてください。
4.フィードバックを行う
もしフィードバックがなければ、それはもはやDVDや他の映像教材と同じで、人間が教える意味がありません。実際に人が教える最大のメリットはフィードバックができることです。
というのも基本的に人は説明を聞くとわかった気になるものです。しかし、いざやってみるとできないということは往々にしてあるのです。
基本的なやり方を説明して、一緒に練習したら、受講者にも演技をしてもらうべきです。そうすると初めて、わかった気がしただけで、実際にはわからないことだらけだったことに気付きます。それがとても大切なことなのです。
しかも講習の場で手を動かし、声を出して演技したことで、実際に人に見せるときの最も良いリハーサルにもなります。その上で、受講者にとって無理がない範囲で、演技をより良くする助言があると良いでしょう。
少し哲学的な話になりますが、「知っていることと、できることは違う」という人がいます。一方で「できないことは知っているとは言わない」という人もいます。ですがそれらは実質的に同じようなことを意味しています。少しだけ知ってわかった気になっても、実行するのはとても難しいことですし、実行するためにはより多くのことを知り、より深く理解しなくてはいけないのです。
私も人から、本から、映像からたくさんのマジックを教わりました。ですから、今後もできるだけ良い形で人にマジックを教えたいと思っていますし、他の多くの人にも、良い形で学んでほしいと思っています。
