コインマジック 序論

今度はコインマジックです。まずは序論ということで、コインマジックの特徴や、コインマジックについて私の感じていることなどを書いていこうと思います。

カードVSコイン

カードとコインはクロースアップマジックの双璧ですが、さすがにメジャーさにおいては圧倒的にカードに軍配が上がります。カードマジックはその入り口の広さと奥行きの深さが尋常でないので、これは仕方のないことと言えます。しかし、芸能においてはマイナーであることは個性にもつながりやすく、その点はコインの強みです。

シンプリシティ

コインマジックの最大の特徴はそのシンプルさです。通常1~4枚くらいのコインのみで不思議な現象が起きますので、これはカードマジックと比べて非常にシンプルだと言えます。そのため、観賞する側の負担はかなり少なくなります。

例えば、カードマジックのように「このカードのマークと数字を覚えておいてください」などと要求することもありません。「消える」「移動する」などの見た目にわかりやすい短い現象が多いため、楽に見られるのです。

ただし、シンプルなのは同時に種を見破られやすいということでもあります。誰でも目の前でコインが1枚消えたら、必ずどこかにあるに決まっていると考え、その場所を推測します。コインマジックを上手く演じるコツの一つは、テンポよく演じることです。大急ぎで演じる必要はありませんが、不要な間が空くとあっという間に見破られてしまいます。

「コインマジックは難しい」という声もあります。使うテクニックが多い、初心者向けの簡単なマジックが少ない、などの理由もありますが、シンプルさによる見破られやすさも一因なのではないかと思います。

どんな人に向いている?

コインマジックは、マジックの重要な基礎が詰まっているので、すべてのマジシャンが学ぶべきものだとは思いますが、やはり向き不向きもあると感じます。というのも私の経験上、プロアマ問わず、いわゆる「エンターティナータイプ」のマジシャンはコインを好まないなと感じるからです。

こんなことを書くと怒られそうですが、エンターティナータイプのマジシャンは、「練習が嫌い」または「最小限の練習しかしない」という傾向があるように感じます。というのもエンターティナーは、お客さんを喜ばせることを第一に考えているので、コインのような地味で難しい素材よりも、派手で簡単なマジックの方が優れていると考えるからです。

これは決して悪いことではなく、むしろマジシャンとして正しい姿勢です。しかし、こうなると自然とコインは敬遠してしまうようになります。

コインマジックの名手や、これから名手になりうるタイプは、職人気質なマジシャンです。職人ですから、日々の繰り返し作業を厭いません。毎日同じことを繰り返しているようで実は少しずつ前に進んでいるという感じです。エンターティナーが「〇月〇日のショーで何を演じようかな」と考える一方、職人は「このマジックをいつの日か演じよう」と考えて練習します。

職人とエンターティナーは、その人の感性や価値観、美学の問題ですので、どちらが優れているということはありません。また、エンターティナーも観客の最大限の喜びを引き出すためにたくさん練習することもありますし、職人も自分の作品が他の人に気に入ってもらえたときには、無上の喜びを感じるものですので、ほとんどの人が両方の要素をもっているものでもあります。

さて、だいぶ話が脱線しましたが、次回以降、ロープのとき同様、素材選びや、本の紹介などをしていきたいと思っています。お読みいただきありがとうございました。

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